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【イケメン戦国】私と猫と

第26章 桜の咲く頃  三幕(九歳)


「兼続、だ、大丈夫なのっ!というか、湖が先に手を出したんだから、喜之介は正当防衛!悪くないっ…あ…」

ぱんっと、自分の口元を塞ぐが時遅し
そこにやっかいな人物が二人も加わるのだ

「湖…」
「なんだか今、物騒な話が聞こえたぞ」

謙信と政宗だ
皆が集まっている部屋に来てしまったのだ
襖の方へ目を向けた湖が困った表情を浮かべている
どこから現われたのか、佐助が湖の脇に手を差し込み立たせるのだ

「に、兄さまっ!」
「ごめんね、湖さん。事情は耳に入ってるんだ」
「急に現われたらびっくりするからっ」
「…ここ…かな」

佐助の指がすっと左の外股をなぞれば湖は顔をしかめた

「っ…」

そこは喜之介に蹴られた場所で、押されば鈍い痛みがある
その様子に、はぁっと後ろの佐助からため息が漏れた

「これ、白粉さんに今すぐ確認してもらいなさい。薬は用意するから」
「…ん…かかさま、ごめんね…」
「湖。人の体は脆いんだ。しっかり手当しないと、あとに響くぞ」
「わかった…」

はぁっと、ため息をついた湖を白粉は抱えると

「一度部屋に戻る」

そう言い部屋を出て行く
佐助もまた「薬を用意します」と一緒に出て行く

湖は、謙信と政宗に手を振る
そんな湖を見送り謙信が信玄を見る
「何があったか説明しろ」と
信玄は苦笑しながら話をして聞かせた




「で、どうした…」
「どうしたも何もない。子ども同士で話がついたんだ、仲直りをして終いだ」
「……」
「…そんなに眉をひそめるな。言っただろう、ただの喧嘩だ。大人が口を出すことじゃ無い」

信玄は謙信を宥めるが、もう一人政宗の眉間の皺も外れないのだ
だが、そっちは関係ない
三成にでも任せればいいと、あえて口出しせずにいた

「…お前も、解ってって何も言わずに帰したのか」
「湖様と喜之介殿の問題です。私は経験がありませんが…童は時折喧嘩をし信頼を深めていく物だと聞いた事があります」
「……お前、以前ならもっと」
「怒っていますよ。ですが、それは喜之介殿にすべて責任があるわけではありません」
「っち」
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