第7章 視察 (裏:謙信、政宗、家康)
後、信長たちは大名とともに城下などの視察へ
湖は、女中に案内され湯殿へ行くこととなった
「湖様、こちらにございます」
女中が案内したのは、本殿とは少し離れたところにある湯殿
「こちらに控えておりますので、何かございましたら声をおかけください」
そう言い、扉の外へ下がっていた
(お姫様扱い…やっぱり慣れないなぁ…安土では、もう女中さんたちとも仲良くしてるんだけど、ここじゃそうもいかないし…慣れるしかないかな…)
着物を脱ぎ、進むとそこは白く濁った湯だった
「わぁ…」
ぱちゃんっ…
湯に入れば、とろみのある感じで手足にしっとり絡まる
「気持ちいいっ」
湖は、ふふっと笑みをこぼし、しばらく湯を楽しんだ
湯から上がれば、そこには先ほどの着物とは別の着物が
「あれ…女中さんが変えてくれたのかな…」
部屋にあった薄い青の着物
(これを着ろってことなのかな…)
特に深く考えず、それに手を通し着替えていく
そして、女中とともに本殿へ戻ろうとすると其処には政宗が立っていた
「風呂は楽しんだか?」
何気なしに、聞く政宗に湖は小首を傾け答える
「政宗…視察は?」
「あぁ、今日は俺は留守だ」
「そうなの?」
(わざわざここまで来て、留守番とかあるのかな…もしかして…)
「私のせい…?」
「なんだ、それは?俺は単に時間があったから迎えに来てやっただけだ」
ニヤッと笑い手を取る政宗
「ところで、その着物…また贈り物か?」
「たぶん…」
政宗が女中を見るが、彼女は何事もないように先導しているだけだった
部屋に戻れば、信長と家康も戻ってきており湖は城下の様子など聞いた
4人で菓子と茶を囲み、何気ない話をしていると大名が現れた
「ごゆるりとしているところ、失礼いたします。当家の仕立て屋が今来ておりますゆえ、もしよろしければ姫様に来ていただきたいのですが…」
大名はにこにこと湖を見る
「仕立て屋ですか?」
「…いいだろう、湖。行ってこい」
信長に言われ、湖は立ち上がると
「…それでは、行ってまいります」
そう一礼し、大名について行った