第7章 視察 (裏:謙信、政宗、家康)
入った城には、大名が出迎えに来ており
「信長様、自らのお越し。心より歓迎いたします」
そう一礼し城へと招き入れる
馬を預け、信長、政宗、家康は城に入り湖もその後を続く
「…時に信長様…そちらの姫君が最近安土に来られた姫様でしょうか?」
信長は、眉を少し上げ
「そうだ…湖という」
そう言い、湖を紹介する
「…本日は、宜しくお願い致します」
湖は秀吉に言われていた通り挨拶をすると、大名の湖を見る目に寒気を感じた
「こちらこそ、ごゆるりと滞在されてください。姫様はお怪我をされているとか…この国の湯は、怪我にいい湯です。存分にお楽しみください」
だが、すぐにニコリとあいさつを返され、気のせいかと思う程度であった
到着したのが、夕刻という事もあり、その日は宴が盛大に開かれた
そして、各自案内された部屋につく
湖も部屋を当てられ、女中に案内されていた
「姫様のお部屋はこちらになります」
通された部屋は広く、衣桁が二つ並び濃い青い着物と、薄い青い着物が飾られていた
「…あの…これは?」
「遠くから姫様がいらっしゃると聞いた殿の贈り物でございます。よろしければ明日はそちらを着て下さいませ」
そう言い、女中は下がっていった
(すごく綺麗な着物…蓮の花かな?こっちの薄い色のは、グラデーション掛かってって大人っぽい…)
衣桁にかかった着物を手に取り、信長様、私が行くことを伝えてあったのかな?と考えていた
その日の夜は、安土に比べ寒く
湖は布団に包まって寝ていた
翌朝、朝餉に来ていったのは衣桁に掛かっていた着物の濃い青い方
「お、湖にしては珍しい色だな…新しく仕立てたのか?」
政宗がすぐに気づき声をかける
信長は視線を湖に向けると、眉を潜めた
また家康も、その着物に不信感を抱く
「これは、この国のお殿様が用意してくれたって…昨夜、女中の方に明日は着るようにって言われて…変かな?」
真っ青な色は着たことがない
自分には大人っぽいような気がするこの柄
「いや…」
それだけ言うと、信長は家康と目くばせをした