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【イケメン戦国】私と猫と

第26章 桜の咲く頃  三幕(九歳)


信玄の返答は断言では無かった
だが、確信がある

(家康には聞いていた。白粉が不在の時間があったと…あれに何があったかまでは知らされていないが…目に見えて変わったな…)

以前の湖は、白粉を母と呼べとここまで執着してただろうか?
確かに安心する存在、頼りになる存在ではあっただろう
だが、一時とはいえ不在にしたことで不安という感情が芽生えた
それが、二人の新たな母子の絆になったように思える

「……このまま行けば、あいつは辛い別れをするな…」

白粉の与えられた時間
それは安土の者も理解していた

仮初めの時間は、成長と共に減っていくのだ







翌日、政宗は朝から謙信と共に
三成は兼続と共に勉強部屋を訪れた
そして、主には三成が湖を
兼続が喜之介をと
同い年の二人を並べて勉強させるのだ
部屋の縁側には、白粉が湯飲みを持って座っていた

(…同じ頃の年、いい刺激相手ですね)

「三成くん…物流は、同盟国以外はないの?」
「そうですね。大半はそうですが、商人・商家のつながりもあって…」

三成の教えは兼続と異なり、書籍は使わなかった
湖の興味のある部分から話を広げていく
質問形式だ

兼続は、「なるほど」とそれを感心しながら見ていた
しばらくすると、家臣に呼ばれて三成が腰を上げた

「すみません、湖様。至急の文が届いたので、返事を書いて参ります」
「うん。解った」
「兼続殿、申し訳ありません。湖様をお願い致します」
「承知致しました」

そうして、兼続に手渡されたのは兼続の文字で書かれた紙数枚

「兼続、これは?」
「孫子でございます。信玄殿も参考にされる言葉が書かれております。此処には湖様にも参考になるものをいくつか書き出しました」
「そんし?」
「はい。試しにお読みください。質問があればお伺い致します」

「うん。わかった」と文字を読み始めた湖
孫子の言葉の横に、兼続の解釈もわかりやすく書かれている
次第に集中し始めた湖に、兼続は頷きながらその様子を見ている

そうして少したった頃だ

「兼続様、失礼いたします」

勉強部屋に女中が訪れた
何かを兼続に言えば、兼続は白粉の方を向いていった
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