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【イケメン戦国】私と猫と

第26章 桜の咲く頃  三幕(九歳)


家康と兼続がいなくなった城内は…


「お・ふ・ろ!お風呂いこー。もー、私、眠い…兄さま、お風呂」
「湖さん、もう一人で入れるよね?無理なら、そろそろ女中の誰かに」
「やだ!だって、遊んでくれないもん」
「…お風呂で遊ぶのそろそろ止めようか」
「兄さま、お風呂入りにいこーよ」

ぐいぐい佐助の着物を引っ張る湖だが、佐助はびくりともその場を動かない

「…まだ九つなんだが、でも九つなんだよな」

信玄は困ったように笑う
幸村も、「めんどくせーガキ」とため息をつく始末だ

「ガキじゃないもの!」
「じゃぁ…」
「無理!だって髪の毛どうしていいかわかんないもん…あ。切っちゃえば、大丈夫かも…」
「だめだ」

否定したのは謙信だ

「なんで?」
「どうしてもだ」
「…じゃあ、謙信さま…一緒にお風呂入ろう?」
「……」

しばらく間を置いた後、「来い」と言われて喜んで立ち上がった湖
部屋を出ようとする謙信に信玄が声をかけた

「おいおい、大丈夫なのか?」
「なにがだ?」
「なにが…って…あぁ…まったく。解った、俺も行く」

湖に羞恥心の話をして聞かせたことがあったが、さっぱり伝わっていないようだった
仕方ないと見せた春画も、
「これ、喜之介が持ってたよ」
と、こどもが持っても支障ないもの そんな認知なのだ

(いっその事、絡みのある…いやいや童にそれは早すぎだろ…)

されど、湖の場合
一月もしない間に、今度は十二になるのだ
信玄の悩み所は、兼続に通じるものがあった

「すみません、信玄様。よろしくお願いします」

佐助はもう線引きをし、極力このような場面では関わらない体制にしているようだった

「佐助、「兄」役なんだろう?」
「「兄」だから、あえて避けないと…「兄」じゃなくなってしまいそうで」
「…なるほどな。解った」

結局、白粉が戻るまで謙信、信玄と湯浴みすることになる
だが、湯浴み
以前から白粉は極力入りたくないという姿勢だった
妖の彼女は特に湯に入らずともその清潔さは保てるのだ
便利なもので…
衣類と同様、あっという間に着替えも汚れも落とせてしまうのだ
なので、白粉がいる間もちょくちょく湖は誰かと入る事になるのだった
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