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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


「っっっ~~?!」

小さくなった着物、いや、大きさの合わない着物の前を押さえながら湖は、ガクンと膝をついた

「っ、湖さん!」
「湖っ」

佐助と白粉が、駆け寄るとその表情は…

「…まさか…」

目に涙をたくさんため込んで悶絶しているかのようなのだ

「佐助兄さま…助けて…っ痛いっ」

ひにゃっと、半泣きの湖に白粉は「はぁぁ」と深く息を吐く

「何事かと思ったぞ…」
「あぁ、やっぱり。湖さんの成長痛は、九つだったんだ」
「これ…、痛いよっ!」

その様子に、登竜桜は大笑いだ
くくくっと涙を滲ませながら笑う
だが、

『お前たち、その席から立つなよ』

背後を見ずに、遠くに座る男五人を制すると

彼らは立ち上がるのを止め、ゆっくりと腰を下ろすのだ

『湖、佐助にも言ったが、それは儂にはどうしようもしてやれない。一ヶ月、辛抱するんだな』
「桜さま~…」
『無理だ』

ふぇっと浮かべる表情は、幼さが隠せない
伸びた背丈、だがその身体にさほど膨らみはない
確かに胸はうっすら膨らみ始めているが、その他は変わらないのだ
薄い身体に長い手足
髪は腰下まで伸びているようだ

パンパンっ

登竜桜が手を打てば、湖の押さえていた着物の大きさが変り
今の彼女のサイズの物になるのだ

「あ…」

それは、桜より少し濃い桃色の着物に変わり、腰には柔らかな緑色の帯が結ばれていた

『身動き出来ぬのなら、その方が苦しく無いだろう』

兵児帯のようなそれは、確かに通常の帯より楽だ
そんな湖を白粉が抱えて立つ

「確かに大きくなったな。だが、まだまだこの手で抱えられる」

長身の白粉、大きくなったとはいえ軽い子どもを抱くことはなんら支障もないことだ
するとその視界は白粉の頭の上にあり、登竜桜も見下ろすような形になるのだ

『湖、三回という約束はお前の為だ。九つのお前ならば、約束はどんな物なのか解るだろう?』
「…守らないといけないもの」
『私とお前の約束。破られれば、私はお前を信用しなくなるだろう』
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