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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


「あ。成長痛、ないな…うん。良い具合で身体が動く」

パンパンっ

佐助の着物が、今の背丈に合わせるように大きくなる

『さて、お前はこれでいい。ずいぶん窮屈そうな一ヶ月だったようだな?』
「いえいえ。確かに身動きはさほど出来ませんでしたが。おかげで、他の事がいろいろとはかどりました」

佐助の背丈は、ほぼ大人の佐助と変らない程だった
ただ変るのは、以前よりはまだ体つきが少年っぽいというだけだ

『最後は、湖だが…まず、約束は守れているだろうな?』
「うん!おまもりのおやくそく。ちゃんと三かいって。まもったよ」

自信満々に言う湖の額に指を当てて、少しだけ間を置いた登竜桜
しばらくして、ため息を漏らしながら湖と同じ視線に腰を落とした

『ぎりぎり…だな。約束というのは…まぁ、いい。九つの姿に変えてから説教だ。湖』

とんと、額を小突くように登竜桜が押せば

(あ…さくらさまの、におい…)

大好きな甘い花の香り

ぐんっと、自分の身体が伸びる感覚
前に感じたのと同じ不思議な感覚だ

目に入るのは、前より大きくなった自分の手の平
そして、目の前に居る登竜桜が前程大きく感じない感覚

『お前、九つまでにずいぶん背丈が伸びたのだな』







それを思ったのは、登竜桜だけではない
遠くで見守ってた
四人も同様だ

「な…。佐助の背丈に驚いたが、ちびすけのやつ。伸びすぎだろう…」
「あれで、九つなのか…」

幸村に、秀吉
そう言葉に出るのは無理もない
六つの頃の湖、そして九つの湖
その身長の差は歴然だ
頭一つ以上違うのだ

「あれは、もう裳着を済ませる頃と変らないな」
「十二…確かに背丈だけならそう思われても不思議無いくらいだ」

光秀は感心したように目を細め、信玄は少し驚いた様子だ

「あれでは…」

謙信は小さくそう言った




その懸念は大当たりだった
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