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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


突拍子も無いことを言えば、喜之介は眉をしかめ湖を見て
兼続は、驚いて「湖様っ」と止めに入る

「湖ね、っあ。わたしね、もうすぐ九さいになるの」
「…馬鹿だろ?お前どうみても八つに見えない」
「そーだよー。六さいだもの」
「六の次は、七だろ!兼続様に教えをもらってるのに、数も数えられないのかよ」

白粉と兼続の間で、頭二つほど下で言い合いが始まった
兼続は少し顔色を悪くし、白粉はめんどくさそうにため息をつく

「もーっ、かねつぐ!きのすけ、わからずやだ!かねつぐが、せつめいして!」
「っなっ!お前が、馬鹿なだけだろっ!!」

双方、互いを指させば兼続に訴えるような視線を送る
その視線を受けた兼続は困ったように、白粉の方へ顔を向けた
だが…

「…私は、勝手なことをするなと謙信から釘を打たれている。まかせる」

と、兼続にゆだねるだけなのだ
兼続の頭と肩が下がると、致し方無いと息をつき喜之介に説明を始めた

湖が本来は成人の女性であること
安土に住まっていたが神隠しに遭い、幼子となって春日山城にたどり着いた事
家臣たちに聞かせている事をそのまま

すると、喜之介の表情が固まっていく
すべて聞き終えると、湖の方をちらりと向き…

「…嘘だ」

と、疑わしい視線を浴びせる
だが、その視線の先の湖はそれを気にする様子はない

「うそじゃないもの。湖は、あとちょっとで九さいだもん」
「そうか…喜之介、おぬしは某の教えを受けたいと言っていたな」
「は、はい…」
「同い年…お互いよい刺激を受けるだろう…湖様、九つになったらこの喜之介と一緒に勉強を致しましょう」

先ほどまで表情を崩していなかった湖が、この兼続の言葉に苦い顔を見せた

「えーー。湖もー、いいよー!おべんきょう、つかれるもん!」
「何を仰いますか。大人の女性になる為には、知識も必要ですぞ。湖様、またご褒美を用意いたしましょう!」
「…なんでもいいの?」
「其の叶えられる範囲であれば、なんでも結構です」

ドンと胸を叩く兼続に、湖は「じゃぁ、、わかった」としぶしつ返事をするのだ
それについていけないのは喜之介だ
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