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【イケメン戦国】私と猫と

第6章 おつかい (裏:三成、光秀)


■光秀編

どのくらい寝ていただろうか
物音がしない静かな夜
湖は喉が乾いて起きた

「…お水」

ゆっくりと起き上がり褥をでると、ふらふらと進み襖を開ける
部屋を一歩出たところで、足を止め言葉を発した

「…光秀さん?」

そこには、柱に寄りかかり月明かりで酒を飲む光秀が居た

「起きたか、湖」

酌を片手に湖を見上げる表情は、いつもの飄々としたものだ

「こんなところで…どうしたんですか…」

寝ぼけて夢うつつといった様子の湖が訪ねる

「気にするな、月見酒だ。お前はどうした?」
「…喉が乾いて…」

ほぅ・・・と、呟いた光秀は酌に酒を注ぎ立ち上がる

「なら、これを飲め」

差し出された酌をそのまま受け取り、ゴクリと飲めば喉の奥が熱くなる

「ん…っ?!こ、これ、お酒?!」

軽く咳き込んだ湖は、酒で目が覚めた

「潤っただろう?」
「っ普通は、お水です!」
「酒も水も変わらんだろう…もう寝ろ」

酌を奪い取る様に持つと、光秀は先ほど寄りかかっていた柱の方へ戻っていく

「…どうして、そんな所で飲んでるんですか?」

光秀は明らかに湖の部屋前で飲んでいる

「…気にするな。単純にここがいいと思っているだけだ」

其処へ胡坐をかいて座った光秀の横に、湖は近づき座ると、光秀の手に触れる

「冷たいです…」

その手は、夜の空気で冷たくなっていた
湖は何かあったのかと光秀の顔を覗くように見た

「気にするなと言っただろう…それとも、お前が温めてくれるのか?」
「ごまかさないで下さい。何かあってここに居るんですか?」

ふぅと、軽く息を吐くと

「お前は、時々鋭いことがある…その感が普段でも働けば、今日のような事にはならないだろうに…」

今日の事とは、謙信に剥がされ押し倒されたあの事を言っているのだと気付くと湖はビクリと身を揺らす

「…訳を言う気はない。お前は寝ろ」

それを見た光秀は、湖の腕を掴むと部屋の中へ入り、褥まで連れてきた
そして、そのまま部屋を出ようとすると着物の袖裾を引っ張られるのが解った
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