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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


信玄はため息を再びついた

「だめですね、完全に刷り込まれて…」
「こいつ、見目的に危なっかしいところがあるからな…」
「そうだぞ、湖はその見た目だけでも連れ去られる可能性が高いんだ。さっさと認識を改めさせないと…余計にたちが悪くなるぞ…」

佐助に、幸村、秀吉もまたため息がつきない
そんな中、光秀はじっと湖を見ていた
そんな視線に気づいたのか、湖もまた光秀を見返した

「みつひでさま?」

湖が名を呼べば、光秀が近づきその頬に手を添える
秀吉は、そんな光秀の行動に気づきはしたがそれをそのまま見ていれば…
湖の瞳の奥を覗き混むように、あと少しで唇と唇が触れるくらいの距離まで顔を寄せた光秀が…

「外見の美しさとは、内面からにじみ出るものだと聞く。お前の瞳は澄んでいて美しいと…俺は思うが」

間近で囁くように伝えられた言葉に、湖の頬は染まりだす

「近すぎだっ、光秀!」
「湖っ」

光秀は、秀吉に肩を引かれ
湖は信玄に抱きかかえられるように引かれた

「まったく…無防備なところが多い娘だったが…こう幼い時期を共にすれば、危なっかしくて目が離せんな…」

信玄は、湖に言うわけではなく
独り言のようにそう言うと、ため息をつきながら湖の頭に顎を乗せた

「ととさま?」
「湖…いいか。あの男に必要以上に近づくな…何をされるか知れたもんじゃ無い」
「なんで?」
「なんでもだ」

ため息が漏れた
誰というわけでもなく、何人ものため息が
それに首を傾げるのは、湖だけだった

男児が見つかったのは、まもなくだ
春日山城に子どもの出入りは無い
母の言伝だと門番に言い出入りしていたのは、家臣の息子だった

謙信と兼続に呼び出され、事情を聞いた家臣は息子の頭を押しつけながら自らも頭を下げていた
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