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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


興味深そうに自分の手元を見ている湖に気づかず、光秀は

「そうだ」

と答える
その視線は、まだ幸村達の方だ
残り一人がいる限り、何が起こるか解らない

(どこからおとがしたのかな?かたなと、どうちがうのかな?)

最後の一人が草むらに倒れると、ようやく光秀はその視線を小さな湖に戻した
そして、自分の手元の短銃を食い入るように見ていることに気づく

「なんだ?興味があるのか、湖」

下から見上げた光秀の顔は、木々からこぼれ落ちる光でひどく綺麗に見えた

「…ううん…」

ふるふると頭を振る湖
だが、興味が無いわけではない
むしろ、それがなんなのか知りたい好奇心がある

(あれはぶき…よくないもの)

知識が増えていき、理解し始めた
武器は、人を傷つける物だと

草むらを走る音に湖は、はっと視線を前に向ける
幸村だ

「悪い…っ。大丈夫だったか?」

心配そうな顔は、一番小さな湖に向けられる

「おい…おい、湖?」

呆けた様子の湖、その頬を軽く叩くように視線を自分に向けた幸村

「あ…ゆきっ」

湖は、ようやく目の前の幸村の顔に気づくと、光秀から手を外し、屈んでいた幸村の首に手を回し抱きつく

「ゆき…!ゆきは、だいじょうぶ?!けがしてない?」
「あんなんで、怪我なんかするか…」

そのまま湖を抱き上げ、腰を起こした幸村は光秀に向かって

「…助かった」

と、ぼそりと礼をした

「ほう。礼を言われたか」

それを意地悪そうな笑みで返す光秀に幸村は

「礼儀礼節は嗜みだと毎日言われて育ったからな」

と、フンとそっぽを向いた
そして、ふと気づいたように湖の顔を見た

「…お前、ずいぶん心音はやいけど…大丈夫か?」
「びっくり…して…だいじょうぶ」

(そうだな…こいつ、まだこどもだ。あんなの見たら、驚きもするか…)
「湖、帰るぞ」
「…うん」

そのまま馬に乗ると、湖を抱いたまま手綱を握った幸村
光秀も湖の馬の手綱を自分の馬に繋ぐと、馬に跨がる
そして、ゆっくりと歩み始めたときだ
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