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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


「うん…」

湖は知っている
山賊だということを
日々、兼続に教えられているからだ
森から集団で降りてくる者達、熊や獣の獣を来た男達が降りてきたら、身なりを見るようにと
腰元に刀を差し、値踏みするような視線をしていたらそれは山賊を疑うように…と、教えられていた
だから、あの男達の視線を感じてすぐに「よくない人たちだ」とそう判断した
幸村が強い事はよく知っている
謙信との鍛錬も何度も見ているからだ
だが…あの人数、湖の顔には心配の色がありありと浮かぶのだ


だが…そんな心配、全くの不要だった


彼らは、幸村達が誰だかも知らずに「金目の物を置いていけ」と脅しにかかり、その結果返り討ちにされているのだ
幸村はその場の誰よりも強かった
誰よりも早く動き、体格差を感じさせないほど力強い刀をさばき

怖いことなど忘れてそれに見入ってしまう湖

「ゆき…すごい…」

最後の三人を残したところで、山賊の片方が「くそっ」と光秀達の方を見て腰元の斧を振り投げようと構える

「っち…まて・・っ」

止めようと間合いを詰めるが、あとの二人に阻まれ近づけない

風の音を立て、斧を持った手が振られようとしたとき…

ドォン……ッ

山賊のその動作に、思わず目を瞑ったとき、草原を低く響く音がした
その音にびくりと背を揺らし、光秀の腰元にしがみつくように手を回して顔を押しつけた湖
恐る恐る目を開ければ、光秀の手元から細い煙が上がっているのが見える
そして、遠くで山賊がうずくまっているのも
斧は…どうなったのか、見当たらない

「み、つひで・・さま…?」
「あぁ…大きい音は苦手だったか。平気か?」

その手元には、刀とは異なるものが握られいる
その筒から上がっている細い煙

「それは…なに…?」
「短銃か…そうか、初めて見るのか…子どもには、あまり良くないものだ」
「てっぽう?」

少しだけ本で見たことのある物だった
兼続と勉強をしている際に、別の書籍がちらりと見えて絵を見たことがある
その時は「姫様には不要な知識です」とぴしゃりと言われ、それ以上見ても聞いてもいない
だが、文字は読めたから記憶にあったのだ

(これ…絵でみたことあるやつだ…)
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