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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


幸村の体を上手いこと使って馬を降りた湖は、光秀に

「みつひでさま、のるのてつだって」

と、手を伸ばした

「そうか…一人に乗るには、まだ身長が足りないのか」

そう言いながら光秀は湖の腰元を掴み馬に乗せた

「これでいいか?」
「うん」
「よし、じゃあ。ゆっくり歩かせるぞ」
「はいっ」

幸村は隣で馬に乗りながら、湖を誘導し始める
二頭は寄り添うようにゆっくりと、その場で円を描くように歩いた

「よし…だいぶ上手くなってきた」
「ほんと?!」
「こら。よそ見するなよ」

様子を伺う光秀の目に映るのは、幼い湖の姿
それは、六歳になったばかりの頃に比べれば話すことも体をしっかりしているように見えた
相変わらず、折れそうな程に細く薄い体ではあるが…
馬に乗りだしたせいか、手足の力の入り具合など、それなりにありそうに見えるのだ
視線に気づいたのか、湖は光秀の方を向くと小さく手を振ってみせる
その手に柄でも無く振りかえす動作を見せれば、隣の幸村は変なものを見たような顔を浮かべる

「あれ…?ゆき、あのひとたち…こっちにきてる?」

ふっと湖の視線が捕らえたのは、森の方から出てきた十名程度の男達だ
幸村はそちらを見ると、湖を光秀のいる木の下へと連れて行く

「どこにでもいるな…あぁいう輩は…手を貸すか?」
「支障ない…不本意だが仕方ねぇ…湖を頼む」
「頼まれてやろう」
「ゆき?みつひでさま…?」
「馬をおりろ、湖」

幸村がを持つのを確認すると、湖は滑るように馬から下り幸村を見上げる

「…ゆき」

不安そうな声に、幸村は湖を見下ろし笑う

「問題ない。少しだけ、そいつの後ろに隠れていろ」
「…わかった。きをつけてね」

湖は、気づいたのだろう
あれらの男が良くない者だと
光秀の後ろに回ると、その着物を握る

「すぐに終わらせる」

そう言い、男たちの方へと馬を走らせた幸村
ぎゅうっと、引かれた着物
光秀は後ろ下を見て

「心配する必要はあるまい」

と笑ってみせるのだ
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