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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


朝餉を食べおわっても謙信と秀吉は姿を現わさず、湖は白粉に許可をもらい、幸村と光秀と馬の練習に出かけることにした
着替えてきた湖は、昨日と同様袴に着替え髪も一つにくくっている

「いいの?」
「そう起こしに行っただろう」

湖が尋ねれば、光秀は馬の手綱を手に下にある顔を見下ろすように答える

「おこしにきたの?」
「なんだ?気づいていないのか」
「…湖、おきてた?」

はぁとため息が、馬を挟んで横から聞こえた

「ゆき?どうしたの?さっきから」
「どうもこうもあるか…」
「もしかして…おしごとあった?いいよ、湖。みつひでさまと、おうまさんしてくるよ」
「あぁ。構わないぞ、真田」

湖は、何を勘違いしているのか
幸村のため息の原因は自分にあると思っているようだった

「許すか…俺はちびすけの馬の指南にため息をついてるわけじゃねぇ…湖、気にするな」
「そうなの?」
「そうだ」

そう言いながらも、やはりまたため息なのだ

「ゆき…?」
「あぁ、くそ。湖、今日は駆けるぞ!」

そういうと、幸村は湖を自分の馬に乗せると、自分もその後ろに乗り

「お前はそっちでついてこい」

そう言い光秀を置いて先に駆けていく

「やれやれ…」

光秀はもう一頭の馬に乗ると、湖の馬の手綱を引き馬ながら走らせる
気晴らしのように馬を走らせた幸村は、障害物の見当たらない野に出ると馬を止めた
大きな木の木陰、木々の間から差し込む光がまるで柱のように見える

「っぷはぁ…」
ヒンッ

急に止まったのもあり、湖は馬の鬣に顔を埋めてしまった

「あ。わり…」
「いいよー、けんしんさまも はやかったけど、ゆきのおうまさんもすごくはやい!きもちよかった!」

こっちの気は構わず笑みを浮かべる湖に、幸村の肩も下がる

「お前…ほんと、馬が好きだな」
「うん、だいすき。はやく、湖もちゃんとのれるようになりたい」

蹄の音が近づき

「ならば、練習するのみだな」

追いついた光秀が、幸村と湖の隣に馬をつけると、馬を下り湖の馬を目の前に誘導する
栗色の馬は、「はやくのって」とでも言うように、ヒンっと鼻を鳴らす

「うん!れんしゅうするっ」
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