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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


三成は織田の参謀
そうそう不在にはできない立場だ
だが、この湖を放っておけば…本当に身体を壊しかねない
自分の政務への取り組み方や性格を否定するわけでは無い
むしろ自分には性分で悪いとは思わない
だが、それを子どもが…湖がとなれば話は別だ

(助かりました…これで、湖様を焦らさずに済みます…)

文をしまった三成は、湖の横に座るとこう言った

「湖様。私は、もうしばらく滞在出来ることになりました。焦らずとも帰りませんので、しっかり食事や休息を取りながら進めましょう」

ぴくりと湖の肩が反応すると、筆を持つ手が止まった
そして、三成の方に顔を向けて「ほんとう?」と尋ねる

「はい。嘘はつきません」
「…よかったぁ」

すると…ぺったりと、今まで墨で書いていた紙があるのも構わず机に頬をつける湖

「湖、がんばってるのに、へらないんだもんっ…よかったぁ…みつなりさま、どのくらいいるの?」
「…湖様のご褒美までお付き合いできますよ」
「ほんと?ほんとねっ」

苦笑してその頭を撫でれば、くぅーとお腹の音が聞こえた
同時に脇に手を差し込まれ、その身体が持ち上がる

「湖、食事をしに行くぞ」
「あれ?かかさま、いつからお部屋にいたの?」
「…さぁな」

顔を上げた湖の頬には墨が付いてる
手ふきで拭きながら白粉はその額に口づけを落とした

「かかさま?」
「子どもは腹一杯食べて動いて寝るに限る。頑張るのはいいことだが、周りに心配をさせるのは良くない。解るか?湖」
「しんぱい?」

首を傾げた湖
それが解らないまま食事の為の広間に移動すれば…そこ立っていたのは信玄で

「やっと机から離れたか?」

と苦笑いして湖を見た

「ととさま?なにか、あった?ちょっと元気なさそう…」

湖は、信玄の方へその手を伸ばす
そのまま信玄は湖を抱えると、その顔を間近に見ながら「あのなぁ…」と苦笑した

「元気がないんじゃない。心配してたんだ」

小首を傾げる湖だったが、信玄に抱えられ広間に入れば自分を見る武将達の表情でなんとなく気づいた
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