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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


「っ、お馬さん?!あ…でも…あのね、ととさま。こんかいのおべんきょう、ちゃんとおぼえたら、馬のれんしゅうしていいごほうびなの。だから、湖…おべんきょう はやくおわらせたいの」

湖の言う言葉に信玄が三成を見た
三成は、頭を軽く下げ返答する

「信玄様の許可も頂く必要がありますね。湖様の希望が乗馬なのですが、許可願えますか?」

やんわりとそう言われ、信玄は苦笑した

「まぁ、湖ならそう言い出すと思ってはいたが…仕方ない。俺は許可しよう。白粉…」
「…はぁ…どうして、そんなに馬がいいんだ?」

続けて問われた白粉は、湖を見下ろしため息をついた

「かかさま、きもちいよー。かぜになったみたいで、びゅーんびゅーんって…いいきもちなの」
「…解った…怪我の無いよう頼む」

「ご両親の了解が取れて良かったです。湖様、ご褒美決まりましたね」
「あ。謙信様の…」
「謙信なら心配はないだろう。湖が望めばやらせるつもりでいたようだからな」
「さようでございますか…」

許可したくない兼続は信玄の言葉に、しぶしぶ頷くのだ
そして、ご褒美の確約をもらった湖は満面の笑みで、横の白粉に抱きつく

「かかさまっ。ととさま。ありがとー!」

湖の笑みは本当に嬉しそうで、その構図は本当の親子のように見え
三成は、ほほえましくその風景を見ていた

「…良かったです。湖様が笑顔でお過ごしになられていて」

小さなそれが聞こえたのは、信玄と兼続だけだった
白粉に抱きついたままの湖は、三成の視線を感じてそちらを向くとおもむろに口を開く

「お馬さんは、みつなりさまがおしえてくれるの?」
「私ですか…?そうですね…残念ながら、こちらでの滞在はあと八日あまり…間に合えば、もちろん指導させて頂きたいところですが…」
「八日…やってみるっ」
「え…?」
「は?」

「やってみる」それには三成も兼続も言葉を失う

「なにがだ?」

白粉がそう口を挟めば…

「あのね、かねつぐのかだい。湖、あと七日でおわらせるの!」
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