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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


佐助を下ろすと、幸村はため息をつく

「めんどくせー…」
「まぁまぁ、幸村。そう言わずに…謙信様、今日は機嫌がいいようだから」

確かに今日の謙信は退屈そうな顔を見せない
いい獲物を前にほくそ笑んでいると、言った方がいいが…

「佐助、貴様はそこで練習試合の立ち案内をしろ」
「そうゆうことですか…解りました。では、稽古場のみの打ち合いでいいですか?」
「そうだ。外に行けば、湖の目に入る。俺が夢中になりすぎたら止めろ」
「…それを今の俺に言いますか…あ…そうだ。これ、試してみたいですね。万一が、あれば火薬を使いますので皆さん注意願います」

佐助は痛む膝裏をさすりながらも、いいことを思いついたと言うように懐から小さな丸い玉を出す

「なんだそれは。煙玉か?」
「いいえ、これは小型花火玉です。まだ試して無かったのでちょうどいいです」
「…おい、謙信。お前のとこの忍は、これでいいのか…」
「…佐助、面白くない物ならば容赦せんぞ」
「任せてください。威力は謙信様驚きの程に設定しています」
「「……」」

政宗と幸村は、謙信と佐助の会話にずれを感じながらも突っ込みはあえてせずに黙った

「だが、面白い…軍神との一騎打ち…いいな」
「馬鹿を言うな、お前は幸村と共に俺を討ちに来い」
「なに…?」
「一人では物足りん」
「ほぅ…言ってくれるじゃねーか」

にやりと政宗の口角が上がれば、それは稽古の開始の合図になった
木刀での討ち合い

勢いのいい音が稽古場の外にも聞こえていた





「あれ?かねつぐ…けんしんさまたちは?」
「…謙信様達は、用があって昼餉は取らぬそうです」

兼続が気まずそうにそう言う
昼餉の食卓に、謙信、政宗、幸村、佐助の姿はない
白粉の横に座った湖は、「ふーん」と言いながら

「かかさまは、なにしてたの?」

と関心がそれたように白粉に尋ねるのだ
ほっとする兼続に信玄が「隠す必要もないだろうに」と笑った

「湖の方はどうなんだ?」
「すこぶる順調で御座います。石田殿の教え方がいいのか、本日予定していた分を終えて進んでいます」
「そうか…、湖。なら、昼餉のあとは散歩でも行くか?」
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