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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


様子を見ていた佐助だが、隣に座っている白粉の膝に手を乗せ自分の方に身を乗り出す湖に気を取られた
左で白粉の膝に手を乗せその身を支え、右手に持つ箸に料理をつまんで自分の方へ食べさせるように持ってくるのだ

その表情を見れば、料理に興奮しているのはよく解った

(まぁ…様子をみるか…)

佐助は、そんな湖の様子に肩を落とすと

「ありがと、湖さん」

と、言ってその料理を探した

「いーの。にーさま、これ食べて」

だが、湖はつまんで差し出す「これ」と食べろという

「それは、湖さんが食べるといいよ」
「にーさま、あんよ痛いでしょ?湖がたべさせてあげるよ」
「いや。痛いのは足だから、手は大丈夫」
「いいからっ、これ食べて!」

何が何でも、「これ」を食べろという湖に折れ佐助はつままれたそれに口をつけた。
確かにその食事は旨い
が…痛い
視線が…

(いや。俺のせいではないし)

政宗や三成だけではない
兼続、信玄、謙信、幸村まで刺すような視線で佐助を見ているのだ

「…湖さん、おいしかった。ありがとう。でも、あとは大丈夫だよ」

このままでは不味いと、佐助は丁寧に湖に断る
湖は、不満そうに…でも「それなら」と自分が食べることに集中し始めた
その様子にほっと胸をなで下ろせば、白粉が「よかったな」と、にやりと自分を見下ろすのだ

政宗の料理はこの場の全員に評判が良かった
大人は酒が進み、湖はリスのように食事を頬張る

「いい食いっぷりだな、ちびすけ」
「この調子で食えば、少しは肉が付くだろう」

幸村と政宗のつぶやき
この日から政宗が滞在中は、食事の担当が政宗となった
城内では、安土の武将に対する空気が少し変ったようだった
おいしい匂いの漂う食事は終わり…翌日のこと
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