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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


「直江殿、もしよろしければ…滞在中だけ私も一緒に湖様の教育に当たってもよろしいでしょうか?」
「石田殿が……」

兼続は三成を見て、その人也を今一度考えた
そして

「…では、お願いしてもよろしいでしょうか?」
「俺も入るぞ」
「いえ。それは丁重にお断りいたします」

三成には丁寧にお願いしながらも、政宗は叩き打つように冷たく断る兼続
政宗は面白くなさそうに「まったく…」と息を吐く

「…そうだな、何もせんのは時間の無駄だ。ちょうどいい、伊達政宗、お前は滞在中俺に付き合え」
「あ…?何をだ」
「決まってるだろう。稽古だ」

にやりと謙信が愉快そうに口角を上げれば、

「…いいな。軍神と手合わせか…願っても無いことだ」

政宗の口角も面白いと上がるのだ

(それは助かる…佐助がダウンしてて、俺だけが相手だったからな…)

それを無言で見ていた幸村は、はっと不在な人物を思いだした

「あ…佐助を…」

と、口にすれば



「まって…湖さん。本当に今は、ムリデス」
「にーさまだって、ごはんたべたら元気になるよー」
「これは、食事でどうのという問題ではないので…」
「まぁ、文句を言うな」

一体どんな状況なのか、聞こえてくる声は三人分だが、足音は二人分
しかも片方が小さな幼子のものだ

「しつれいしまーす」

と、女中のまねごとか
そう言い襖が開かれると、そこにはにこにこと満面の笑みの湖と、白粉
白粉は、「ん、たしかに上手そうな匂いだ」と薄く笑った
そして、不満そうな佐助

「ぶっ…っ?!さ、すけ…っくく…」
「なんとでも言ってくれ。俺は、拉致されただけだ」

佐助は、無抵抗なまま白粉に横に抱えられているのだ

「歩けんというのでな。担いできた。まだ軽いものだ」

白粉は有無も言わさず佐助を床から抱き上げ歩いてきたらしい

「はははっ、そうやっていれば間違いなく子どもだと解るな」

それを見た信玄は、腰を下ろしながら笑った
白粉もまた佐助を横に下ろし、両脇に佐助と湖を置き座る

「…座っているだけでも痛い…」
「まったく、人とは不便だな」
「かかさまは、とくべつだもん。湖もにーさまみたいには、なりたくないけど…」

湖は、いずれ通る道を今目の前にして憂鬱な表情を見せた
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