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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


(ゆらゆら…きもちいい…)




結局、謙信の部屋にそのままついてきた信玄

「鈴はいいのか?」
「あぁ。今は寝てるからな。あとで白粉の所に連れていくさ」
「そうだな…」

すっと差し出されたのは、まんじゅう

「珍しいな…あぁ…もしかして詫びのつもりか?」
「…一時とは言え同盟を組んだ…もし、お前が…」
「今回の事は仕方ないだろう。湖の事もあるが、あの地の存在を世に広めるわけにはいかない。あんな口頭約束ではあるが、あの男は自分が発言したことは破ることはない。俺も同意した同盟だ」

差し出されたまんじゅうを一つ掴むと無造作に口にする信玄

「…そうだな」
「だが、安土の連中と寝床を共にする気にはなれんな」
「あぁ、それか…確かに制限はせんとは言ったが、やつらをこの本丸で寝泊まりさせる気はない。兼続の御殿に置く」
「兼続のか?」

はぁっと、息をつく謙信

「兼続が折れるわけ無いと思っていたんだがな…石田三成と余程趣向が合うのだろう。本人も不本意のようだが、懐柔されたな」

ははっと笑う信玄に、謙信は「笑い事では無い」と眉をひそめる

「まぁ、そうだな…石田三成と直江兼続…性格は違えど、両者「義の心」を重んじる者同士であり、文武両道。話も弾むだろうな」

謙信は側にあった酒を飲み始めていた

「…悪いな」
「珍しいな、お前がそんな言葉を使うなんて」
「嫌なら忘れろ」
「はは…っ、お前も食ってみるか?」

食べ終わったまんじゅう
さらにもう一つ手で掴むとそれを謙信に差し出す

「要らん…甘い物は好まん」
「いいから、食ってみろ。酒に餡子はあうぞ」
「……」

嫌な顔をしながらも、まんじゅうを受け取った謙信はそれを一口かじった

「…甘い…」
「だろうな」

はははっと笑っている信玄
その声に目が覚めたのか…
信玄の横に置いてあった着物がもそりと動いた

「鈴…起き…」

チリリン、リン…

「ん、んんーーー…っ。ふぁあ~…」

ぐいーんと、手を上にあげ伸ばす湖は寝起きだ
着物は腰元でくるまっており、上半身を隠すものはない
ぐりぐりと、両手で目元をこするのはまるで猫のようだ

頭が揺れれば、その度に鈴の音も鳴る
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