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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


「しめた」という表情を作った政宗はゆっくりと気配を絶ち部屋を出る
だが、話に夢中な二人はそれに気づく様子はないのだ

「さて…兼続は三成に任せて…湖を探すか」

そうして春日山城を自由気ままに歩き始める政宗
その感は鋭く幾分も立間に湖を見つけた





「よし…こんなもんだろう…」

声の主は信玄だ
縁側を降りてすぐの場所に湖を座らせ髪をそろえていた

「ありがとー。ととさま」

小さな木の椅子に腰掛けていた湖は、首を上に向け後ろに立つ信玄にほほえみかける
その頭をぐりぐりと撫でながら信玄は「どういたしまして」と答えた
昨日は背中真ん中ほどまであった髪の毛だが、今は信玄に切りそろえられ肩下ほどに綺麗に揃っていた
そしてサイドの髪を三つ編みにし、桜色の…桃花褐の飾りをつけているのだ

(…赤じゃないのか…)

ずっと湖がつけていた髪飾りを思い出し、政宗はじっとその様子を伺っていた
すると…

「さて…兼続の檻から上手く逃げ出したか?」

そう言いながら、政宗の方を見て笑みを浮かべる信玄
そんな信玄に軽く舌打ちをしながら、政宗は二人の方へと歩き出す
湖も、一人加わった事に気づき政宗の方を見るが…

(あの人…っ)

警戒をするように信玄の後ろに隠れてしまうのだ

「…よお。茶でもだそうか?」
「いや。構わない」

視線は、信玄の後ろにいるであろう湖の方にある

「おいおい。こどもにそんな視線を当てれば逃げられて当然だろう?」
「…悪いが、こども扱いをするつもりはない」
「…では、この子の父代わりとして警告しよう。娘を睨むような視線で脅すのはやめてくれないか?止めない場合、湖との接触は禁ずる」

政宗の目線がゆっくりと上がり、信玄とその視線が合う

「…そんな協定はない」
「協定なんか必要あるか。保護者として当然の対応だ。この子はまだ六歳だ。それなりの対応をしてみせろ」

信玄の目が鋭く光る

「…本当に記憶が無いのか」
「記憶が無いのとは異なる。時を巻き戻してやり直しているだけだ」

「はぁ」と、深いため息が聞こえ湖の信玄の着物を掴む手がぴくりと動く

「解った…こどもの扱いの知識は無いが…努力すると約束しよう」
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