第25章 桜の咲く頃 二幕(六歳)
「それは、見方によります。どうか、湖様の目で感じてください」
三成が、すぐさまそう返した
すると湖は、じっと三成を見たあとに「わかった」と首を縦に振るのだ
「じゃあ、みつなり…さまと、みつひでさまは、なかよくない国にどうしてきたの?」
「それは…」
三成が言葉に詰まれば、光秀がそれを繋ぐ
「無くし物を探しにな」
「そうなの?みつかった?」
「そうだな…見つけたな」
「そっか。よかったね」
小さく笑って、光秀をみた湖
三成は、光秀に会釈し説明を続ける
「私ども以外は、湖様は…初対面でございますね。まず、こちらが織田 信長様、豊臣 秀吉様、伊達 政宗様、徳川 家康様」
湖は、名前を聞きながら一人一人見ていく
信長は、湖から見ると怖そうな人に見えた
秀吉は、複雑そうな顔をして自分を見ている
政宗は、じっと睨むようにこちらを見ていて
思わず、謙信の着物をぎゅうと握ってしまった
最後に家康、黄色い着物の男はそっぽを向いていて良くわかない
「全員、安土の武将です」
「…けんしんさまや、しんげんさまのお友だちじゃないってこと?じゃあ、なんで…おじいちゃんのお城に来てたの?」
『湖、お前。こやつらが誰かも知らずに、儂の所に連れてきたのか?』
黙って酒を飲んでいた登竜桜が口を挟む
「そんなことないよ。十兵衛さん…みつひでさまと、みつなりさまは知ってたよ。湖にこんぺいとうくれたお兄ちゃん。けんしんさまに、おこられるからないしょねって言われたの。だから、けんしんさまのかしんのひとかなー…って」
『まったく…先ほど、記憶を見たが…こやつら、家臣など一言も言っておらんぞ。そこの緑のなんかは、「家臣」って言葉が出てえらく怒ってるしな…』
そう言い指を指したのは秀吉の方だ
「は…?」
『此処は隠し事が出来ぬ地だ。言葉に出さずとも儂には丸聞こえだ…中でも、お前…』
次に指を指されたのは、政頼だ
『じじぃと全く似ておらんな…あいつは女好きで気持ち悪い奴だったが…お前は男か…湖は、女子だ。その妙な視線を浴びせるのはやめろ』
「い…いえいえいえいえいえっ、滅相もないですっ…!ひぇ…」