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【イケメン戦国】私と猫と

第24章 桜の咲く頃


信長が笑みを浮かべて目を瞑る
意外な言葉に、信玄が言葉を失う

「お前が父親なら、湖はまっすぐ育つだろう」
「…なにやら悪意を感じるな」
「信長様に何を言う!」

秀吉が信玄に向かってそう言えば、幸村が秀吉に何かを言い始めた
その二人をよそに、信長が続ける

「湖を引き渡してもらおうと思ったが…あの様子では、無理に連れてきても泣くだけであろうな…」
「信長様」

三成が信長の名を呼べば

「お前達の提案通り、湖は越後に預けるとしよう」

光秀と三成の方をちらりと、見て信長がそう言えば
政宗と家康は不服そうに眉をしかめる

「どうせすり込みだろうに…」

ふぅと、息を付いた家康が声を出した時、小さな気配が部屋に入ってきた

チリリン、リン…

それは桃色の飾り紐をつけた小さな煤色の猫だ
ちらりと見れば、ネズミにも見える大きさの

「っ、鈴…」

政宗がそれに驚き目を見張った
鈴はちらりと政宗を見ると、たんたんと走り出し信玄の膝の上に乗るのだ

「湖か」

謙信が、信玄の膝に乗った猫をそう呼ぶ

にゃぁ!

返事をするようにそう猫が鳴いた時、同時に部屋に入ってきたのは白粉だ

「湖、何処でも姿を変えるなと何度教えれば解る…」

入ってきた女は長身、三成と同じくらいの身の丈
そして腰まである白く長い髪を無造作にかき上げ、不機嫌そうな顔を見せていた

「湖さん、着物」

にゃっ

一緒に入ってきた佐助が童の着物を持って入ってきた

「湖だと…」

秀吉がいぶかしげに見る中、佐助は子猫を抱くと着物で包んで言う

「湖さん、元に戻った方がいいよ」

…にゃぁ

「湖」

佐助の後ろに立った女が鈴を見下ろせば…
佐助に抱かれていた着物に膨らみ、人の姿に変えるのだ

「…だって、かかさま…おこるんだもん…」

着物に包まれた童が佐助にしがみつき声を出した

「お前の抱きかたが雑だからだ」
「白粉さんのいう通り、あれはちょっとどうかと思うよ」
「ちょっと、いそいでたんだもん…」

「おい、ちょっと待て…っ」

童と女のやり取りを見て秀吉が口出しした

「なんだ」

それを女が不機嫌な表情のままで振り向き見る

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