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【イケメン戦国】私と猫と

第24章 桜の咲く頃


「…信玄、それをいい加減離して寄こせ」
「悪いが、俺はこの子の父親代わりだ。お前のような男に渡すか」

信長が、信玄の腕の中に収まったままの湖を扇で指すと、信玄は湖を隠すように抱き寄せた

「白粉…お前、いつ生き返った…湖を攫ったのは何故だ」
『その理由は明智光秀に話した。謝罪するつもりはない』

政宗が白粉をにらむように見れば、白粉は臆せず言葉を返す

「つーか…一体何人引き連れてきた」
「見えているだろう…我ら四人だ」
「は…っ、こんな殺気だだ漏れでよく言うな…」

幸村に光秀がつらりと答えるも、襖の奥から感じられるのは刺すような視線だ
その襖がしゅっと開けば、現われたのは家康と三成
二人の視線は湖だ

「ちびすけ…今の湖には、お前らの記憶はない。ただの童…越後の童だ。干渉するな」
「勝手なことを言わないでください」
「越後の…なに言ってるの…」

びりびりと空気が音を立てるかのようだ
広間の外で様子を見ていた政頼も、家臣達もその場から音を立てずに去って行く

信玄が、腕の中の湖が身じろぎするのに気づいて視線を下ろせば…
くぁっと、大きな口であくびをする湖

「湖…起きたか?」
「んっ、ととさま もーついた?」
「着いたには、着いたんだがな…少し問題が出来た」
「もんだい…もんだいって、おいしいの?こんぺいとーみたいの?」
「…おいしいものでは無いな」

信玄にそう言われ、周りを見渡せば…知らぬ顔がちらほらと…

「あれ?にーたん…えっと…じゅうべーと…さきちさん!」

その知らぬ顔の中から湖が見つけたのは一度だけ会ったことのある二人
名を呼ばれた二人は、それぞれの笑みを浮かべた

「湖…あいつらを知ってるのか?」
「うん!…ぁ、ないしょだったっ…ん、ごめんねー」

口元を押さえ、光秀と三成に申し訳なさそうな顔をする童に三成は

「いいんですよ。大丈夫です」

とにこやかに返す

「やはり、あの時に会っていたか…」
「湖さん…」
「にーたん、ごめんねーひみつって こんぺーとーくれたの」

そう言えば、見慣れない金平糖を食べていたことを思い出した佐助

(信玄様にもらった物だと思っていたんだけど…餌付けされてたんだ)
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