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【イケメン戦国】私と猫と

第24章 桜の咲く頃


白粉は、湖を連れ出した理由、その経緯
そして佐助は、白粉と出会ってからのことを話した
どのくらいの時がたっただろうか、洞窟では日の落ちる経過も解らずにいた

「理解しがたい…と言いたいが、実際に湖やお前達を見ると事実だと認めざる得ないか…」
「そう言っていただけると助かります」

佐助が、相づちを打つ

「一つ確認だが、湖がこの地に居なければならない理由は無いんだな?」
「…ない。だが、今の湖は生まれた赤子から成長している状態…私を母、佐助を兄、信玄を父親と、短い間ではあるが着実にこの地に根を下ろしている。さらに、一月に一度は越後領内の土地神に会いに行く必要がある…ここから湖を離すというなら、悪いが私は反対だ」

光秀は白粉の言うことを最後まで聞き終え、「お前の都合だろう」と鋭く言った後

「調べたい事は、すべて聞き終えた。俺は、一度安土に戻るとする…あとを決めるのは、信長様だ」

と言い、洞窟を一人先に出ていくのだ
そんな光秀の背を見送り、佐助が白粉に声を掛けた

「白粉さん…戻りましょう」
「…そうだな…佐助、この件は謙信に私が伝えよう。お前はこの場に居なかったことにしろ」
「別に構いませんけど…おそらく、謙信様は気づいているだろうと思います」

はぁっと息を付くと…面倒そうな表情を作った白粉
そんな白粉を見て、佐助は苦笑した
白粉は佐助の方を、ちらりと一目見…

「…お前は、幼い方が表情豊かだ」
「豊か?」

思わぬ事を言った
意外な指摘に驚く佐助を尻目に、白粉もまた洞窟を出た




時刻はもう人が寝静まろうとしている頃
春日山城の一室では…
褥に仰向けに横たわった信玄の腹の上で、湖が気持ちよさげに大きなその体を抱えるように寝ていた

「御館様、失礼します」

返答が無い
だが、人の気配は感じる部屋
幸村はそっと襖を開けた
すると、見えたのは親子の図だ

「…寝落ちかよ」

心地の良い寝息が二つ

(…少し前まで持病で寝付きも悪かったのにな…あんなの乗せてたら、かえって苦しいと思うけどな…まぁ、ゆっくり休めてるんならいいか…)

「ん…、幸村か…何か、あったか?」

長く見過ぎたか、信玄が薄く目を開け首だけ幸村の方へ向けた
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