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【イケメン戦国】私と猫と

第24章 桜の咲く頃


「っ…、まいたか…女とこどもだと聞いてはいたが、忍だとは聞いていないぞ」

林の中で馬を止めた男は、童を抱いて降りる

「そうか?言ったと思ったが…」

それに答えたのは、別の男だ
男はつらりとそう言うと、湖を受け取って男に金を手渡す

「…気を失っているのか?」
「あぁ。こどもは騒がしくて好かないからな…女郎屋で手に入った香で…」

かちゃりと、鉄の音がすれば男の額に堅い物があたる

「な…」
「妙な薬では無いだろうな…」

短銃を構えた光秀は、切れの長い目を細める

「知るか…い、いや、問題ないと聞いている…待ってくれ、無傷で連れてこいという約束は守っただろう…」
「…頭の弱い奴だな…無傷といったんだ。薬も同様…勝手をしてくれるな…」
「か、かんべんしてくれよっ」

じっと浪人を見てから、銃口を外すと光秀は首を振った
すると男は逃げ出すように馬を置いて走り去る

「湖…」

縦に抱く童に声を掛けるが、返事はない
眠ったかのように目を瞑っているのだ

(…少し反応を見るだけにするつもりだったのだがな…このまま此処に置いておくわけにいくまい…しかたない…)

光秀は、自分の身を隠す宿へとその足を向けた
馬を置いたままで


それからさほど時間を置かず、佐助と白粉はその場にたどり着いた
馬を見て、佐助と白粉はあたりを見回す

「馬を捨てたのか…」
『佐助、別の人間の匂いが残っている』
「っ、だとしたら…」
『湖の匂いを追う…いいな』
「もちろんです」

ざっと音が立てば、その場から姿が消えた


宿についた光秀はそこで思わぬ人物に遭遇した

「…三成」
「勝手にお邪魔しておりました。申し訳ありません…その童は…」
「解ってって聞くな」

フンと、鼻で笑うような光秀に確認のように三成が言う

「まさか、本当に…」
「湖だ。間違いない」

そう言い、湖を畳に下ろせば童がうっすら目を開けたのだ

「…ここ、どこ??」

ぐじぐじと、目をこするのはどう見ても童なのだ

「湖」

自分の名前を呼ばれ、光秀の方を振り向く童は

「…にーたん、だぁれ??」

と首をかしげた
その髪と瞳は間違いなく湖だった
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