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【イケメン戦国】私と猫と

第24章 桜の咲く頃


「高梨候…俺は今さっき、湖の父親代わりになると言ったばかりだ」
「し、信玄殿」

信玄に刀を突きつけられた政頼は、後ずさりを見せた
それを横目に、謙信が政頼に声を掛ける

「お前は、女こどもになにやら怪しい事などしてはいないか…」
「一切ありませぬ!本当に一般論で…っ、信玄殿、刀をお納めくださいっ」
「信玄」

ふぅと、わざと大きく息を吐くと…

「…一度、お前の周辺を調べるとする」
「信用されてませんな。もちろん、構いませんよ」

やましいことはないと、両手を挙げる政頼

「決して女こどもには手を出してはおりません」

と、怪しく佐助を見るのだ
佐助は身震いし「なんだ?」と訳の解らない悪寒に首をかしげる

(あぁ、こいつ…男色癖があるな…佐助のことも見てやらなきゃな。戦術が基本なのは、真面目な人格かと思っていたが…応用が効かないのか、馬鹿正直なのだろうな…)

と信玄は再び盛大なため息を零した

「続けますね。今朝になって、石田三成も単独行動で動いていることが報告されています。おそらく明智さんを追っているのではないかと推測されますが…」
「湖、どうしますか?」

途切れた佐助の言葉を続けるように、幸村が繋げば…

「問題ない。今の湖は三歳の童。記憶も同等。湖自ら付いていくことはないだろう」
「まぁ、湖が普通の子ならな…」
「…確かに、湖様の警戒心のなさ、どんくさいくらいの純粋さ…考えますと、不安が‥」

兼続は、湖を褒めているのか、貶しているのか
間違いなく心配をしているのは目に見えて解った

「…佐助、白粉と共に湖から離れずに居ろ。しばらく、代りの軒猿を密偵に走らせる」
「承知しました。それで…十日後の事ですが」
「共に出る。兼続に留守を任せる」

「はっ」と返事をしつつも兼続は

「殿、お約束を。当日にお帰りくださいませ!領地内に織田の者が入り込んだとなれば、何か起きることが想定されまするからな」

と付け足すのだ



その晩、白粉の予告通り
湖はぐっすり眠り、鈴も姿を現わすことは無かった
政頼は客間でどんな夢を見たのか「桜様、もーかんべんを…」と夢にうなされ
信玄は、昨夜に続き穏やかな眠りに付いていた

翌日に起こる事など誰も予期せずに…
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