第6章 おつかい (裏:三成、光秀)
「…顕如さんは…どうしてあんな所に住んでるんですか?」
送ってもらう道で、湖が訪ねると
「…住んでいるわけではない…訳あって、一時滞在しているに過ぎない…」
(訳?…なんだろう?でも、この人…私のことをあれこれ追及しなかったし…しない方がいいかもしれない…)
「そうなんですか…」
「お前も森には近づかない方がいい…恐ろしい鬼が出る」
「…鬼?ですか?」
「あぁ…」
そんな話をしている間に、森は開け明るい日差しが目に入る
「ここでいいか?」
顕如は、湖に訪ねると再度礼をいい湖は歩き出した
「あのっ…今度…」
一度振り向いたが、顕如の姿はすでになかった
「…顕如さんか」
森を抜ければ、城下までもう少し
歩いても問題ない距離だったため、湖は前を向き歩き出した
(あ、馬…大丈夫かな?ちゃんと城に戻ったかな…)
それを見守っていた顕如は、「妙な女子だ…」と独り言を零していた
城を出てどのくらい経っただろうか
すぐに帰ろうとも思ったが、お使いだけはしていこうと露店で金平糖を探して歩いていると
どんっ
「っぷっ!ご、ごめんなさい」
何かにぶつかった
ぶつかった何かが、男の人の背中だとわかると湖はすぐに詫びた
その人物は答えるわけでもなく、ゆっくりと振り向く
(っ…!)
眼が鈴のように左右違って、背丈の高い男
(あれ…この人…)
「…お前は」
(っ!あの時の乱暴な人だっ)
顕如と同じく、湖がこの時代に来た夜にあった人物
猫のしっぽを鷲掴みにし、自分の裸を見られた4人組の一人だ
「っ…すみませんっ!急いでるので…」
顔を見せないように、袖で隠し急ぎ横を通り過ぎようとするも
反対の手を力強く引かれよろけてしまう
「っいた…!」
「やはり、あの時の娘だな」
男は自分の方へ引き寄せると、顎に手を当て顔を上げさせた
「っ…人違いじゃありませんか…」