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【イケメン戦国】私と猫と

第24章 桜の咲く頃


「桜ですか…?あぁ、城の裏に一本、まだ遅咲きの桜がありますよ」
「佐助、案内を頼む」
「かかさま?」
「おかか様と話がしたいんだろう?」
「っ、うん!ありがとー」

白粉の答えに安心したのか、寄せられていた眉がようやく柔らかく垂れた

佐助は理由を知らないまま、二人をその桜のある場所へと案内した

「ここです。でも…そろそろ終わりですね」

案内された場所に咲いていた桜は、もう大分散っている状態で葉桜が多くなってきていた

「…おそらく大丈夫だろう。湖、佐助も来い」

そう言い白粉は桜の幹の近くに行くと、手の平を幹に当てて「ふぅ」と大きく息を吸い吐く
そして、手の平を見るように目を細める

ぽぽ、ぽぽぅ…

白粉の手から淡い光が出ると、桜の幹がそれに答えるように光を吸収していくのだ

「おかか様…聞こえますか?」

「白粉さん?」

佐助が白粉の行動を怪訝そうに見ているのに対して、湖は白粉の手の光を見上げるようにじっと見ていた

「おかか様」
『…なんだ。なんのようだ、白粉』

すると、桜から登竜桜声が聞こえる
姿は見えないが、声だけははっきりと聞こえるのだ

「っ、な…」

春日山城から、飯山城までざっと60kmはある

「湖が話があると言うので、申し訳ありません」
『湖が?…そこにいるのか?』
「いるよー。さくらさま、あのねっ、まえに湖におはなししてくれたの、もういっかい、おしえて」
『…前?』
「うんっ、おまもりのおはなしっ」

湖のいう「おまもり」それは…



時はさかのぼり
湖が三歳の姿になった日のこと

赤子から、三歳になった湖はきょとんと周りを見回していた

『湖、お前に聞かせてもまだ解らないかも知れんが話しておく』
「…さくらたま?」
『そうだ。解るか?』
「うんっ、湖においしーのくれる おねーたん!」

ふふっと、笑う登竜桜桜に湖は首をかしげた

『なるほど。お姉さんか?残念ならが、儂はお前にとっては…おばばさまだな』
「おばぁたん、なの?」
『そうだ。そっちの白粉が、お前の母。隣の佐助が、兄だ』
「湖のかかさまと、にーたん?」
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