第24章 桜の咲く頃
「十五、六…そのくらいであれば、許容範囲だ」
「ぶぁ…」
幸村が何かを言おうとすれば、「結婚適齢期だろう?」と信玄がいとも普通に返してくる
確かに戦国時代十二、三で嫁入りも別に不思議でも無いのだ
「このまま成長すれば、四ヶ月後だろ…そして間違いなく清らかな体の」
「信玄…貴様、八つ裂きにされたいか」
信玄と謙信のぴりりとした気配を感じたのか、湖が…
ぽんぽんとおもちゃを大人の入る湯に投げ始める
「けんか、めっ!!」
ぷっくりふくれ、染まる頬
その一個が、幸村の頭に当たる
「猫娘、それやめろ。地味に痛ぇぞ」
ぽくぽく・・っ、ぽこん…っ
「ちびすけ…っ、俺ばっかり狙ってるだろう!!」
「あっ、たったら…」
べちんっ…
手ふきが、幸村の顔に当たれば…
ずり落ちて見えるその目に、気まずそうな童が映る
「ごめん、ね?」
投げつけられた手拭きを掴む手に青筋が見えるのは、気のせいでは無さそうだった
「…お前…」
「ゆき、たつからよー」
それでも、こどもは強い
平然と言い返すのだ
「わざとだろーがっ!」
「ちがうもん」
「幸村、どうどう…小さい子には優しくって教えてもらっただろう?」
「知るかっ!佐助、お前はどけろっ!」
幸村は間に立った佐助を見下ろしながら凄む
「こどもが投げたものだ。痛くないだろう?大人げないな、幸村」
「っ佐助…てめ…」
「かくゆう俺も小さい、忘れないように言うけど」
「体だけだろっ‼お前は、中身はまんまだろーがっ」
「だとしても、外見上いじめだ」
「あぁ…?誰がいじめだ」
ぷつりと、幸村の表情が変われば…
ざぱん…
「湖、上がるぞ」
「そうだな」
「うん?」
と、謙信に抱えられ湖と信玄は湯殿をあとにするのだった
あとのことは…ご想像にお任せしましょうw