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【イケメン戦国】私と猫と

第24章 桜の咲く頃


翌朝

昨日の事は夢ではないだろうか?誰もがそう思いながら城に参上し、政務を始めた頃
ぱたぱたと城を走り回る軽い音が聞こえ始め、「きゃっきゃ」と小さな女の子の声が聞こえてくるのだ

「…夢ではないな」
「そうだな、では…この足音の主は…」
「「湖様だ」」

政務部屋の襖を開ければ、赤い着物の童が走り去っていく
それはもう楽しそうな姿は、童そのもの
面影はあるが、あの女中仕事をしていた湖とは別物だ

「きゃきゃ…きゃーぁ、かねつぐ、おもしろーい」
「姫様、お待ちくだされ!某、遊んでいる訳ではっああっ!だめです!湖様!そこは危ない!!」

そしてバタバタと、それは全力で走る兼続も
こどもの声と、兼続の声が遠ざかると襖を閉めた男達

「「…まさか…城内でこどもの声がきけるとはな…」」

と、声をそろえてそう言った

バタバタと縁側を走り抜け、曲り角にさしかかると庭に飛び降りようとしていた湖
だが、脇からぬっと出たてき手に抱きかかえられてしまう

「ちびすけ、廊下は走るな」
「ちびすけじゃないもんっ!湖だよ!」
「ちびは、ちびで何が悪い」
「っ、ゆき、いじわるっ!!」

バタバタと手足を動かせど、幸村の抱えている手は緩まずそこから出ることはかなわない

「はぁ、はぁ…幸村殿…助かります」
「兼続も何やってんだ。こんなの捕まえちまえばいいだろうに…」
「で、ですが…湖様だと思うとそんな粗忽なまねは」

兼続はいつから追いかけていたのか、額を手ふきで拭く

「湖、追いかけっこしてたのか?」
「しんげんさま!だっこ!!」

幸村に抱えられていた湖が信玄に手を伸ばせば、その体を攫うように抱きかかえた信玄

「かわいいなぁ」
「えへへ」

抱えられた湖は信玄の頭を抱えるように抱きしめていた

「たく…起きたと思えば、探検に行くだの言って飛び出して…」

幸村がため息と悪態をつき始めれば、後ろからストストと歩く音が聞こえる
これは昨日から加わった変わった気配の持ち主だ

「悪いな、若造。湖を捕まえたか?」
「お前…さほど年も変わらない外見で、若造言うなよ!」
「若造は、若造だ。嫌であれば、湖を名前で呼んでやれ。そうすれば、考えてやろう」
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