第24章 桜の咲く頃
「ちょ、ちょっとお待ちを…佐助殿??」
兼続が眉をひそめるのに対し、謙信・信玄・幸村は驚いていない表情だ
「お、恐れ居ますが…もしや湖様が猫になるのは以前からのことで…皆様ご存じなのでございますか」
「そうか。兼続は初めて見るのか?」
「さっきから話に出てただろう?」
信玄が今になって気づいたという表情を見せれば、幸村も当然のように言う
「殿…」
「湖は湖。鈴は鈴だ。なんら問題も無い」
はぁーーーと、盛大なため息と共に額を押さえる兼続
「いえ、先ほどから理解出来ない点はございましたが…これで解りました。鈴とは猫の名前であったのですな…」
それからもう一度鈴を見て
「鈴…鈴殿ですね。あ…だから幸村殿がよく「猫娘」と仰られておったのですな!」
「…兼続、お前思いの外驚いていないんじゃ…」
兼続は幸村の声が届いているのか、居ないのか、「なるほど、なるほど」と納得したように手を叩いているのだ
「いえ、大変驚いておりまする。が、本日の某、驚き過ぎでもはや驚けませぬ。それに先ほどから鈴という名だけは箇所箇所話に出ておりましたので…理解しがたい事は、佐助殿の仰る通り鵜呑みにいたす事に決めました」
そして、どんと自分の胸元を叩くと
「では。極力わかりやすいご説明をお願いいたします、白粉殿」
「…湖と鈴…元々、二人は別々の存在だ。だが、先ほど話した事柄が原因で二つが一つになってしまった。今は、その調整をしているのだが、佐助のいったとおり、元々は別の個体。それぞれの都合で入れ替わるのだ」
「なるほど。では湖様がおられれば、鈴様はおられず。鈴様がおられれば、湖様はおられない。という事ですな?」
「…厳密には片方が表に出ていれば、片方は中で休んでいる状態だ。だが、時折外は変われど中が変わっていないこともある」
「それは…もう見分けがつきませぬな…」
いつの間にか、白粉と兼続は距離を詰め
兼続は「では、この場合」など聞きたい事を白粉に次々へ質問していた