第24章 桜の咲く頃
・湖と鈴の調整を取るのに、赤子から始め体をなじませる必要があること
・一ヶ月毎、登竜桜の場に行き調整しながら成長させること
・その為には6~7ヶ月かかること
・湖の記憶は登竜桜の預かりにあり、今は年相応に困らない記憶しかないこと
・白粉が母親、佐助が兄だという家族構成を刷り込まれていること
・湖ほどでは無いが、自分にも刻の乱れが生じて居たため、調整の為に若返らせられたこと
(まぁ、最後のはあの古木の思いつきじゃないかと…おいしい立ち位置だから不満はないけど)
最後に、赤子を移動させるのも、自分がこどもの体になじむのも
色々考慮し、春日山城に戻るのに一ヶ月かかったことを説明した
「湖が一ヶ月たって、三歳になってから連れてきた…と」
「そうです」
信玄の言葉に、佐助が頷く
「だめだ、現実離れしすぎで頭が追いつかねぇ…」
「某も…まだ整理仕切れておりませぬ」
幸村と兼続は、疲れたような表情を浮かべている
「こんな状態になっている本人が言ってるんです。もうそのまま鵜呑みにしてくれると助かります」
眼鏡を指でくいっと直す佐助は、やはり男児なのだ
声は幾分か高く、細い体に低い身長
幼さの残る顔は、前と変わらず表情を崩さない
「解った…では、お前達は此処暮らし、一ヶ月毎にその土地神の元に迎え。ただし、その際には俺も共に向かう」
「それが…謙信様、申し訳ありません。登竜桜様が人間の侵入を拒むので、一緒には無理かもしれません…」
「なんだと?」
謙信の肩眉がぴくりと動く
「…酒を…」
ところが、白粉がこう言い出すのだ
「上等な酒を持っていけばいい…おかか様は人間の飲む酒にめっぽう目が無い」
「え?白粉さん、そんな事をしてもいいんですか?」
ふぅと、白粉がため息をこぼす
「そもそも、おかか様は人間嫌いではない。自分の力が加わることはいやがるが…いつぞやの飯山城の主とは酒を交わす仲だった」
「それは、確認の必要があるな…」
信玄は、面白そうにそう呟く