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【イケメン戦国】私と猫と

第24章 桜の咲く頃


安土城から湖が消えて約一ヶ月立った頃
春日山城に三人の訪問者が現われた

誰もが二度見するようなきれいな白髪の女性
女にしては長身で、白地の着物を着流し腰下で緑の細い帯で押さえている
そんな女が片腕で三歳ほどの童を抱いているのだ
過ぎる人々の視線を集める事になる

一方、抱えられた女児は
肩ほどのある栗色の髪に、赤い組紐の鈴飾りをつけて、回りに興味津々だ
女の首に手を回しキョロキョロと無邪気そうに見回している

そして、緑色の着物を来た元服前程の男児がその二人を先導するように春日山城へ来たのだ

バタバタと走る音がすれば、襖が開き入ってきたのは

「さ、佐助…?本当に佐助なのか?」
「久しぶり、幸村。合流が遅れて悪かった」

幸村にそう答えたのは、まきびしの入った袋片手に忍具の手入れをしようとしている十二、三の男児

「間違いねぇ…佐助だ…お前、一体どうしたんだ?!」
「まぁ、色々あって…事情は全員揃ってから話すよ」
「佐助、貴様…突然姿を消した理由を言え、返答次第では罰を処す」

続けて入ってきたのは、謙信と信玄それに兼続

「さすがは謙信様。この姿を見てもノンリアクションで攻めてくるところ…痺れます」
「謙信、それはあとだろう…まずは、連れだってきた綺麗なご婦人の事を聞かせてもらわないとな」
「いやいやいやっ、あんたも違うだろっ!」

信玄にすかさず突っ込む幸村
そんな姿を見てか、佐助の横に座る女が笑い始めた

「かかさま?たのしい?」

そんな女の影から、姿を出した童は

チリリン、リリン…

覚えのある鈴の音をたてるのだ

「…湖…か…?」

謙信が目を見開き、その童を見れば
童は、にっこりと謙信に笑い

「かかさまのおともだち?にーたんのおともだち?」

そう鈴を鳴らしながら聞き返すのだった

「湖…?…あぁ、こどもの姿も可愛らしいな」
「あんたっ、いい加減にしろよ!佐助も猫娘も…それにその女も…ちゃんと、解るように説明しろ!」

「あぁ、もちろんだ。その為に、此処に戻ってきたんだから」

「湖様?…え…佐助殿…は…?へ??えぇーーーっ!!」

兼続の突拍子もない大声に、湖の目が見開く
そして女にしがみつきながら、びゃーびゃーと泣き出してしまう

「よしよし。驚いたな…大丈夫だ、湖」
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