• テキストサイズ

【イケメン戦国】私と猫と

第24章 桜の咲く頃


『ある程度の乱れは正し回復させはしたが…一度元に戻し、話を聞かん事には儂も対処できん。娘を起すぞ』
「え…」

佐助が、止める間もなく
登竜桜は鈴の頭に手をかざすと、その体の大きさは子猫から大人の猫に

「ちょ、…ストップ…っ」

そして、体の大きさも変わり…
そこには裸の湖の姿が現われるのだ

「できませんよね…」
『ほう…見事だな』

佐助が直視できずに視線をそらせば、ぱんぱんと手を打つ音が聞こえた

『だが、このままでは話にもならんだろう』

もう一度湖の方を見れば、そこには桃色の着物を身にまとっている姿が目に入る

「ん…」

湖は、手を横につき少し呆けながらあたりを見回す
そして…

「佐助…くん?」

と首をかしげるのだ

久しぶりにみた姿
最後に湖を見たのは、あのクリスマスに忍び込んだ晩のこと
それから約三ヶ月ほど会っては居なかった

それどころか、悪い噂が聞こえ始め
謙信を始め、自分も湖の身を心配し、何度か潜入を試みた
だが、今回の安土城は鉄壁の要塞のごとく付けいる隙を見せなかったので、簡単に会いには行けなかった

「湖さん」

湖の名前を呼べば、彼女はきれいに微笑んだ

『湖…大丈夫か?』

湖の膝に元に白粉がよってくる
そして、体を支える手をざらりと舐めた

「白粉…うん、大丈夫。ありがとう」
「湖さん…」

笑顔ではあるが、その表情は体調の悪さを隠せてはいなかった
佐助の表情に、湖は苦笑しながら「心配かけてごめんね」と小さく言った

『話せる程しか回復しないか…人の子は脆いな』
/ 1197ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp