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【イケメン戦国】私と猫と

第24章 桜の咲く頃


政宗は、そのまま天主へ向かう
思っていたとおり、そこには秀吉を始め全員がその場に揃っていた

「光秀もいるな」
「…なんだ、その言い様は」
「いや、湖が体調崩してからか、ずいぶん安土城にいるようになったと思ってな」

にやっと笑いをこぼす政宗に、光秀は「何の話だか…」と素知らぬ顔をする

「家康、湖の熱が上がった」
「解りました。では、俺はこれで…」

政宗と入れ替えで、家康が部屋を出て行けば、その襖が閉まるのと同時に政宗が座る

「政宗、湖を連れ出したって聞いたぞ。あいつは…」
「そう怒るな。体調が悪いのは解ってるが、湖だって外の空気を吸いたいだろう」
「政宗様のおっしゃる事は一理あります。体調の良い日に、外にお連れするのは賛同しますが…」

秀吉と三成が心配そうな表情を見せた

「だが…それで熱を出していては元も子もないな」
「まぁな…」

光秀の言葉に空返事のように答えた政宗
その様子に信長が声を掛けた

「…どうかしたか」
「一瞬の事で断言は…」
(確かに一瞬…)

言葉の詰まった政宗に、三成が声をかける

「政宗様?」
「…三成、前に鈴と湖が入れ替わった際…最後に鈴が人型だった時の目の色、覚えているか?」
「あの時…」

政宗に言われ、記憶を引き出す三成
あの雨と雷の中の出来事を

「…鈴様の、猫の鈴様と同じ色でした…それが、どうかされましたか?」
「…さっきな、一瞬だがそう見えた」
(あれは、鈴の色だ…)







「湖、入るよ」

家康は、湖の部屋の襖を開いた
そこには、寝衣に着替えた湖と湖付きの女中の姿がある

「家康様…」

彼女は目頭に涙をためているように見えた

「…診察するから」
「はい。では、新しい差し水をお持ちいたします」

女中が置いたのか、机上に桜の枝が一枝飾られていた

『雪が溶けたら春だね、桜の時期ってすごくワクワクするの。安土の桜の名所ってどこなの?行ってみたいな』

湖がそんなことを言っていたのを思い出す

(いつだ…年明けの宴の時か…)

「桜…見頃になるよ。さっさと元気になりなよ」
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