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【イケメン戦国】私と猫と

第24章 桜の咲く頃


「失礼します」

家康は、天主を訪れていた

「おう、家康。悪いな、こっちの仕事任せて」

入ってそうそう声を掛けたのは、秀吉だ

「いえ。俺がここ(安土城)に居るんですから、それは問題ないです」

湖の体調を考え、家康は極力城にとどまるように配慮されていた
御殿医もいるが、湖の体質を考えると主治医としては家康が診ることになる
その為、秀吉が主にしていた安土領内の仕事を代わりに家康が持つことになったのだ

「で、湖の様子はどうなんだ」

部屋には、信長、秀吉、三成の三人が揃っていた
家康は、三成の横に座ると首を振って答える

「変わりませんね」
「…そうか」
「もう少し暖かくなったら、湯治にお連れしてはいかがでしょうか」
「有馬…そこにいい湯がある。信長様、いかがでしょうか?」

秀吉の言葉に信長は、「そうだな」と小さく言いながら

「悪くない。後ほど湖に伝えよう」
(気休めにはなる…あんな)
「あやつが、あぁ大人しいと落ち着かん」

信長が書簡に目を通しながら言った言葉に、誰もが小さく頷いた







にゃぉん…

「湖、ついたぞ」

政宗に抱えられながら部屋につけば、そのまま褥に寝かされる湖

「うん、ありがとう」

そう言い「はぁ」と熱をはき出せば、褥に横向きに寝る湖
そんな湖の真横にあぐらをかき座ると、政宗はその額に手を当てた

「熱、上がってきたな。家康を呼んできてやる」
「…政宗」
「なんだ?」
「…ううん、ありがとう。楽しかった」

少し汗ばみ、頬を染めた湖は政宗にそう言うと、その目を閉じてしまう
額にかかる髪を横に払ってやりながら、その頬を指で撫でる政宗

(…くそ…なんなんだ。この嫌な感じは…)

10日ぶりに見た湖は、なぜか色褪せて見えた
絵でもないのに、そう見え
まるで掴めない存在
そんな風に見えて驚いた

その場を立ち上がった政宗は、部屋の側にいた女中に湖の着替えを頼み、家康を探しに出た










にゃぉん…


(鈴…?少し違うような…でも、知っている鳴き声)


にゃぁ…


自分を心配するかのように、鳴き続ける猫の声が聞こえた



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