第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
「私の勝手な置き換えの歌詞でもいい?」
「それは…異国の歌?という事でしょうか?」
「うん、ごめんね。この時期に思い出す歌は全部そんなのばかりで」
「もちろん。湖様が歌って下さるなら何でもお聴きしたいです」
笑みで頷く三成に、湖は小さくありがとうと呟くと歌い出した
暖炉では栗が焼かれ
霜があなたの鼻先を凍らせる
いつもより一枚多く羽織って
小さな声で歌を紡ぐ
湖が目を瞑って歌い出せば、三成は湖の側に寄った
頬に添えられた手に湖が擦り寄るように歌い続ける
そんな湖に今よりも少しだけ距離を詰め、その額に口づけを落とす
「っ…み、三成くん??」
すると、思っていた通り湖は歌を途中で止め目を見開き三成を見るのだ
「駄目ですよ、湖様。歌って下さい」
「え、だって…」
頬を染め出す湖
そんな頬にも口づけを落とせば、湖の頬はさらに染まっていくのだ
(可愛らしい方だ)
「湖様…」
「う…解ったよ…」
すぅっと息を吸い、再び目を閉じ歌い出す湖
輝く光星の下
今夜だけは、こどもたちも寝付けない
愛おしい家族と、恋人と、誰かと
今夜はきっと…
歌い始めた湖のまぶた、少しだけ緊張して力の入った眉間、三成の手に添えられている手、そして耳…
「ひゃ…、んっ」
ちゅぅっ
小さな口づけの音が、耳の中を揺らす
「っ…三成、くん…っ歌えないよ」
溜まらず湖が目を開け三成に訴えるも
その顔がもう唇が触れそうな程近くにあって、思わず背を逸らそうとする
そうすれば、三成の片手が背中に添えられ押し倒されたようになるのだ
「駄目ですよ。これは、ぷれぜんとなのでしょう?」
「そ、そうだけどっ」
「湖様、私に特別なぷれぜんと…くださらないのですか?」
「っ、だって」
畳に広がった髪を梳くように一房持ち上げ、その先に口づけを落とす
湖の甘い花の香りと、なにか果物の匂いがした
「…何かつけられましたか?」