第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
「ほんとに?」
「はい…ですが、湖様…ひとつお願いが」
「なぁに?」
「私がお礼を言うまで歌い続けて下さいますか?」
(お礼をいうまで?)
「…うん。それが三成くんの望む贈り物になるなら」
湖は、頬に掛かった三成の手に手を添えて微笑む
三成もまたそんな湖に笑みを返した
「じゃあ、最初は…この時期に、父がよく口ずさむ歌から歌うね」
「湖様にとって、小さな頃から知っている歌…ということでしょうか?」
「うん、あっ、でも言葉は異国の言葉なんだけど」
「…是非お願いします」
湖は、それを聞くと一息吸って歌い出す
三成だけに贈る歌を
Good tidings we bring…
それは、優しい声で紡がれた
何を思い出しているのか
小さく笑みを浮かべながら歌う湖
そんな湖を見ながら三成は信長の言葉を思い出していた
『貴様は貴様の思ったとおりに話し動いていろ。ただし、帰る場所を忘れるな』
(湖様は自由にしてこそ輝きを放つ方だ…信長様の仰る通り…ですが…野放しには出来ません)
三成は紡がれる歌を聴きながら苦笑した
(手元に収まって頂けるのが一番安心いたします…繋いで閉じこめて誰にも会わせず、私だけに微笑んでくれれば…それが出来ればどんなに心が落ち着くか…)
湖と目が合えば、湖は笑みを浮かべる
(私が…こんな事を考えてるなど、あなたは気づかないのでしょうね…)
小さく頷き笑みを浮かべる三成に湖が頬を染めた
やがて、歌い終わると三成は「もう一曲お願いします」と言う
湖は、「喜んで」と次の歌を考える
(今度は…日本語の歌で、なにかいいのあるかな…)
「んー」と目を瞑って考えていれば、浮かぶのはハーフの父が歌う英語ばかりのクリスマスソングだ
クスッと思い出し笑いを見せる湖に、三成は何か思いつきましたか?と尋ねる