第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
歪む眉、染まる頬、潤む瞳
何もかも光秀の心を満足させる
湖の笑顔は可愛いと思うが、それ以上にこの羞恥に歪む顔に満足感を覚える
(虐めがいのある…)
少し瞳を閉じれば、湖は意を決したように光秀の方に重心をずらそうとする
「……」
「目を…閉じて貰えますか…」
恥じる顔を見られないのは残念だが、湖から何かを仕掛けようとしているのだ
(その顔を見ていたいが…まあ、せっかくだ…)
光秀は、何も言わずにその目を閉じる
湖は張り裂けそうな心音を立てる胸を押さえながら息を飲んだ
そして一息つくと、決心を決めたように合わせを抑えていた手を外し、光秀の胡座をかいている片膝に手を掛け、反対の手で光秀の頬に触れる
そうすれば、ぴくっとだけ反応を示す光秀
(…こんなこと…本当はよくない。そう思ってる…でも、この人を一時でも解放できるなら、してあげたい…おこがましい考えだって解ってる…光秀さんには、光秀さんの考えがある)
それでも、普段からその為に気を張りつづけているなんて
いつか自分で自分を壊してしまうのではないか…そんな風に思ってしまうのだ
誰でもいい
一時でもいい
この人を解放してあげられる時間があれば良いのに
それを言葉にすれば、自分で良いと言われた
(私なんかが…そんな役目を担えるなんて思っていない…それでも、少しでも気が緩めるなら…そうして欲しい)
これが、どんな思いなのか言葉にはできない
恋?
「湖」
名前を呼ばれて、湖は自分の額と光秀の額を重ねた
「…はい」
コツンと額を重ねると、ゆっくりと光秀の唇に自分の唇を重ねる
かるく、触れるだけの口づけを
一度
もう一度
時折、はぁっと熱の籠もる息を吐きながら
もう一度口づけたとき
湖の後頭部に手が添えられる
それは、唇を離す事を許さないようにぴったりと添えられているのだ
(っ、光秀さん!?)
閉じていた目を開けば、目の前に細く開かれた目と重なる
「っふぅっ・・、ん…っ!?」
その目が薄く微笑んでいるように思えたかと見えれば、強引に差し込まれる光秀の舌先
ぬるりと温かなその感触に驚く間も与えず、絡め取られる舌
「んっ、ぅん…っ」