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【イケメン戦国】私と猫と

第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)


光秀が伸ばした指先が頬を掠め、惑わせるような眼差しが迫る
湖は、鼓動が先ほどから忙しなく動くのを抑えようと静かに光秀を見ていた

「だが、お前がその役になるというなら…少しは素になる時間を作るよう努めてやる…」
「え…光秀さん…?」
「お前なら確実に、俺の寝首をかこうなどという無謀な事を考えない」
「…え??」
「俺が素になる時間など寝る間くらいだ」
「は、はい…?」
「万が一寝首をかこうとしても、赤子の手をひねるより容易にねじ伏せられるだろうしな」

にやりと持ち上がり始める口角
どう考えても…

(これは…馬鹿にされているとしか思えないんですけど…でも、私に素の時間を作るなんて言ってくれるんだから…少しは信頼されているのかも…)

光秀を前に肩を落とす湖
だが、内心は悪い気はしなかった

「解りました…誰から買ったか教えて頂き、ありがとうございました。これ以上は追求しません」
「なんだ…物わかりが良いな」
「どうせ教えてくれないのなら、引き下がるのも早々にします…」
「かしこい選択だ」
「でも…私が聞いて役に立てることがあれば、いつでも仰って下さい」
「…本当に物好きな小娘だ」

ふふっと目尻を下げながら笑う湖に、光秀はふと一息ついた

「あ。お礼…いつ御殿に伺って良いですか?」

(…礼?ああ、身体で支払うというやつか…本気にしてはいなかったが…)

「…御殿には来なくていい」
「え、でも…ならお城にある光秀さんの仕事部屋にしましょうか?」

本気で掃除をする気になっている湖は、首を傾げながら光秀を見るのだ

「掃除は不要だ」
「…なら、洗濯とか、文の配達くらいしか私できませんよ?」
「もっと良いことを頼もう…俺が素になる時間も作れる」
「…え?」

頬に添えた指をつーと動かし、顎まで運べぶ
すると湖も意図に気づいたのか、びくりと身を震わせた

「ひ、人で遊ばないで下さいっ…」
「遊んではいない…と言ったら、お前はどうする?」
「光秀さん…」

じっとその瞳を見つめれば、瞳の奧にある光りが揺れる

(その瞳は知ってる…何度見ただろうか…まだ一、二度指を折るくらいしか見たことが無いけど…知ってる…すがりつくように、求めるように…私を見る瞳だ)

「…私で良いなら、素をみせてください」
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