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【イケメン戦国】私と猫と

第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)


「そうだ。その香油は佐助という者から買った」

呆気なく答えを返す光秀に、湖は驚き言葉を失った

「礼は…そうだな…」
「ま、待って下さい!光秀さんは、佐助くんと…っどうして接触してるんですか?佐助くんはだってっ…!?」

しっと、立てた指を口元に持って来られて湖は口を噤んだ

「俺は「誰から買ったか」という情報を売った…お前からの質問には答えた。これ以上は礼に合わない…」
「…っ、そんなの…」
「今度から交渉毎はよく考えてから口に出すんだな」

(また、はぐらかす…でも、佐助くんと接触してるんだ…光秀さん、何をしているの…)

不安そうな表情の湖に、光秀はいつもの笑みに戻りながらため息を零した

「そう心配そうにするな…なにも悪巧みのような事はしていない…今はな…」
「っ…」
(明智光秀…私の習った歴史では、信長さまを裏切った人…でも、私の今居るここでは彼の左腕…光秀さん、あなたはどうして…)

「何か言いたそうだな、湖」
「…どうしてそんな笑みを浮かべるんですか?」

この飄々とした笑み、どこか作り笑いで、何を考えているのか読めない
目を見開いた光秀が湖を見つめる

「いつも…何を考えてるのか私には解りません…おこがましいとは思いますが、光秀さんがそんな笑い方をしているときは、いつもどこか寂しい感じがするんです…」
(光秀さんは…誰も頼らない人だと思うから…)
「時々…ほんの一瞬でもいいんです…誰にでもいいんです…素の光秀さんになる時間…作れていますか?」

そんな事を言う湖に意外そうな顔で、だが神妙に耳を傾ける光秀

「……」

(この人のほんの一時でも…心が安まる場所があればいいのに…)

その目から顔を反らし、湖は下を向いて両手で小瓶を握り閉める

「……物好きだな、お前は」

握り閉めていた手の上に、光秀の手が重なる
そしてその手をゆっくり優しく解くと、小瓶を置き鏡の前にコトリと置いた

「あの…」
「素になる時間か」

光秀の瞳を覗き込めば、その中にわずかな憂いが滲んだ

(光秀さん…?)

「例えば、俺が事実を告げたら?…困るのは、お前の方だぞ」
「…どういううことですか?」
「さあな」

小さく口角を上げた柔らかな表情に心が跳ねる
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