第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
「…どこかで飲まれていたんですか?」
「ああ。宗久殿をねぎらってな…この寒い中、花火の打ち上げに付き合っていたんだ。身体を温めるには酒が一番だろう」
「え…宗久さん、ずっと外にいられたんですか?」
「信長様からの指示でな。あれは、お前に手出ししようとした処罰のようだったぞ」
笑いながら光秀は置き鏡の前に置かれていた小瓶に手を伸ばした
それを制するように、湖は先に小瓶を掠め取る
「…これ、どうされたんですか?」
「買ったが…それがどうした?気にくわなかったか?」
(解ってるのに…どうしていつもはぐらかすのかな…)
「私が聞いているのは、どこで手に入れたかです!」
「そう喚くな、女中達が飛び起きてくるぞ」
そう言われて、はっとなった湖は自分の口を覆った
「っ、嘘。これくらいじゃ、聞えませんっ!」
だが、すぐに気づく
「くく…、お前は本当に面白い…」
「もうっ、光秀さん!からかわないで教えて下さい」
「…教えたら何か褒美があるのか?」
「褒美?なんで、褒美なんですか?」
「情報を貰ったら、それなりの礼を与えるのが道理だろう?」
「あ…そういうものですか…」
そんな事でいちいち素直に対応する湖に光秀はいつも驚き、いつも…いつもは見せない笑みが浮かんでしまうのだ
優しい笑みが
そんな事には気づかない湖は、んーーと悩んでいる様子を見せそして…
「解りました。誰から手に入れたか教えてくれたら、光秀さんのお願いを一つ叶えます!あ。でも、私に出来ることなんて御殿の掃除とかだけですけど…どうでしょうか?」
本気で悩んで出した答えに、光秀は目を丸める
「お金は無いんですよっ、というかあってもちょっとだしっ…なら身体でお支払いしますから、教えて下さい」
どんと自分の胸を叩く湖に、今度は大笑いをし始める光秀
「っくは…くくく…く…」
「み、光秀さん??」
いつもとは異なりなかなか止まない笑いに湖は焦った
何が壺に入ったのか理解できないが、お腹まで抱えて笑う光秀が目の前に居るのだ
怒りたくなるが…それより、不思議と嬉しく思うのだ
なぜなら、素だと感じたから
作っていない光秀の表情
「お前らしい、褒美だな…いいだろう、その条件飲んでやろう」
「光秀さん、じゃあ…」