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【イケメン戦国】私と猫と

第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)


■ 「聖夜の夜に : 光秀編」 ■


眠れずにいた湖の目の前にあるのは、小さな瓶

湯殿で使ったのは、佐助からもらったコンディショナー
そして部屋で使ったのは、光秀からの香油

くんくんと、小瓶を前に鼻を鳴らす

(やっぱり…同じ香りがする…)

不安な面持ちで顔をしかめる湖

(どういうこと…光秀さん…あの時も、これ以上聞くなって言ってるようだったし…)

天主でこの小瓶を受け取ったとき、佐助と同じ香りに驚いた
だがすぐに場を去ってしまった光秀に問い詰める事も出来ず、またあの場で出す話ではない気がして言えなかった

「光秀さん…」

ぽつりと部屋に零した声
灯した光りがゆらりと揺れる
冷たい空気が一瞬だけ背中を過ぎった
湖は、もしやと後ろを見れば…そこには光秀の姿がある
音も無く部屋に入ってきて、片手で襖を閉じているのだ

「呼んだか、湖」
「光秀さん…」

薄明かりの中、光秀の飄々とした笑みはいつも以上に作り笑いに見えた

「恐らく気になっているだろうと思ってな…来てみたんだが…案の丈だな…小娘はとうに寝る時間を過ぎてるぞ」
「小娘じゃありません…!それより、やっぱりこれは、さす・・っ」

あっという間に間合いを詰められると、佐助の名前を出そうとしていた口元を覆われる


「夜分に通ってきた男を前に、他の男の名前を出すのは無粋だぞ、湖」
「っ…」

カッと頬に熱が灯るのを見ると、光秀はにやりと笑いながら口元を覆った手を離した
そしてその場に、湖の前に胡座を掻いて座った

「っ…、そんなつもり、さらさら無いのに…そんな事言わないで下さい」

外されたと同時に、小さく睨んだ湖が光秀に言う

「さてな…だが、気になってきたのは事実だ」
「気になっているのは、この小瓶のことでしょう…」

むーと眉間に皺まで寄ってくれば、光秀は笑うのだ

「お前は、本当に顔に良く出るっくく…」
「…なんとでも言って下さい…」
「…聞いた台詞だな…さきほども言っていたか?雪遊びをしながら・・」
「雪遊びじゃ無いですっ、氷の提灯の準備ですっ!」
「まぁムキになるな、湖」

くくっと笑う光秀から少しだけ酒の香りがした
先ほど信長たちと飲んでからはだいぶ経つ
あれからもう軽く二刻は経つのだ
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