第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
「家康から…もらった贈り物…もっとちゃんと見たくて…そう思ったら、部屋まで待てなくて庭にあった灯に照らしてたの」
「素足で?」
「う…っ、お風呂上がりで温かかったもの…」
「風呂上がりだからこそ風邪を引くんだよ、湖」
「…はい…」
あからさまにしゅんとする湖に家康は続けた
「で?」
「え…?」
「なんで、それを眺めていたの…」
コツンと額を重ねて尋ねてくる家康
その瞳は、湯のせいかいつもより熱を持って見える
どくりと鳴る心臓
それに気づかれないようにと願いながら、湖は答えた
「その…最近、忙しくて…なかなか二人で会えなかったでしょ…だから…ちょっと寂しかったのっ」
言いきった湖は、その瞳を瞑って頬を染め上げる
(寂しい…って…)
家康もまた目の下が薄ら染まるが、湖が目を閉じているため気づかれない
(そんな理由で…)
徐々に耳まで染まりそうになるのに自分で気づいた家康は誤魔化すかのように、湖の額に再度口づけを落とす
「言えばいいのに…」
「だって……っ、私、忙しい時期に家康に面倒掛けたでしょ…これ以上、時間を潰すような事言いたくなかったんだよ…」
何のことを言っているのか全く検討がつかずにいれば、湖の答えはこうだ
「私の解毒治療で…家康は仕事が出来なかったって…信長さまに聞いたから…」
泣出しそうな声で答えたのは、まだ過ぎたばかりだった大山の件だ
「ここ数日、誰よりも遅く御殿に帰ってるでしょ…信長さまと話し込んでるって家臣の方達に聞いたし…ごめんなさい、私が家康の時間をとったせいだね」
(あれは、仕事じゃ無くて…あの人が無理矢理酒に付き合わせてるだけだから…って知ったら湖は笑うだろうか…)
「面倒じゃないし…」
「でもっ」
「でも…じゃない。俺は何よりも優先して時間を掛けるよ…それが、湖なら」
「っ…私なら…て…」
「だけど…湖が気にとがめるなら…その礼をしてよ」
「礼?」
湖は、わかっているだろうか?
先ほどから無防備に自分の身体をさらけ出しているのを…