第5章 歌声 (裏:政宗、家康、信長)
「っ、やめろ…」
湖が少し動けば、顔にかかった髪が落ち鈴の音が部屋に響く
少し汗ばんだ首からは、湖の香り
花の匂いが、家康を刺激するように甘く漂う
「気持ちいい…」
(…初めて会った時から気づいていた…この香り)
鼻をくすぐる香りは、湖からしかかいだことないものだった
(香や化粧ではない、湖自身の香…危険な香りだ…)
花のような甘い香り
誘っているような香りを頭を振って払おうとすると、湖が上半身を起こし家康の頬に手を添え「大丈夫?」と尋ねてきた
(大丈夫は、あんただっ)
息乱れて、でも心配そうに見つめてくる
自分が今どんな格好しているかも気づかずに
布団は腰から下にかかっては居るが、湖自身が起き上がったせいで上半身は素肌だ
しかも、先ほど明かりを運んできたことでその素肌がよく見えた
(白い…)
「っ、何ともない…あんたは?」
視線を向けないように冷静そうに、湖に聞けば
湖は「よかった」と、柔らかい笑みを浮かべた
家康はその表情に、ぞくりと背を振るわせ息を飲んだ
そんな事には気づかず、湖は家康の頬から手を離しながら、言葉を続ける
「なんだか…あつぃ…ふぅ、ん…家康に…触れると…少し気持ちいい…」
そうしどろもどろに話す
「…そう」
家康は、その様子をじっと見つつ一度目を閉じると
「湖、楽になりたい?」
そう聞いた
その出た言葉に自分でも驚いたが、一度言った言葉の返事を待つ
「?あつい…の、治るの?」
ふぅ、と吐息を零しながら家康の方へ倒れ込む湖の背中を軽くさすると
ぴくぴくと反応が見られ、甘い声がする
「っん…はぁ…」
「早く楽になるのを手伝うことはできる」
するりと滑らせた手に背中の感触が伝わる
「ん。。。らくに…してほしい…この、あつい…の、やだ…」
どくんと、心臓が大きく打った
(…媚薬のせいだ…)
自分にそう言い聞かせると、湖を抱き寄せ首下に顔を埋める
それだけで湖は甘く声を上げた
「湖…朝になったら全部忘れて…」
小さくそう言い、甘いと息を出す唇を塞いだ