第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
意識がそこに集中してしまっているのだ
どう触れられてるのか、いつ触れられるのかと…
緊張しているように、おしりがぴくぴくと動くのを見れば、政宗は上半身を押さえていた手を外す
「立てるか?」
(…立つ…?)
返事をせずにいれば、政宗は熱を発する湖の身体を持ち上げるように立たせる
そうすれば、緩められた帯はストンと足首まで落ちていくのだ
湖は、胡座を掻いて座る政宗の前に立たされ、政宗はその火照った体の腰元を持ち支えていた
「…政宗?」
なんだろうと政宗の顔を見るように下を向けば、上目遣いの政宗と目があった
その目は色香と熱を灯しているように見え、湖の心臓が高鳴る
(…!?)
「湖…」
「っ…なに…」
「…触れられるのは怖くないか?」
「え…?」
突然質問され、その意図を読めずにいれば政宗の腕が上衣を脱がすように左右に開いた
ぱさりと上衣の一枚が畳に落ちる
そして、胸当ての着物一枚になった湖の着物の胸部分に指を忍ばせれば、少し下げるように引いた
「やぁ…っ」
湖は、胸に掛かった着物を下げられようとして初めて自分の状態に気づいたのか、政宗のしようとしていることに気がついたのか、胸当てを下げようとする政宗の手を掴むように押さえつける
「…まだ少しだけ残ってるな…」
だが、そんな湖の行動には口を出さず政宗の眉間に皺が寄れば、小さな呟きが聞えるのだ
(残ってる…?)
湖は自分の胸元を見た
少しだけ下げられたそこに見えたのは、大山に着けられた薄い刀傷の治りかけ
もうほとんど治っているが、一部だけまだ薄ら刀傷の跡が見えた
よく見なければ解らないような跡が
(あ…そっか、あの時…あの人に触れられて怖がっていた…それを助けてくれたんだものね…)
「…触れられるのは…怖くないよ…ちゃんと思ってくれている人に触れられるのは嬉しいよ」
(政宗が私に触れたのは、あの事件の前…あのあと、側にいてくれてもこんな風に触れてくることは無かった…私のこと、心配してくれてたのかも…)
眉間に刻まれた皺が「そうだ」と言っているように見えた
そんな政宗を見ながら、湖は精一杯伝えようとする
「政宗に…触れてもらって…恥ずかしいけど…嬉しいよ?だから、怖くないよ」