第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
キラキラと天上を散る火花
その輝きに目を奪われ、外に突き出る板張りまで出て無言で眺めてしまう
(すごく…綺麗…赤や青なんて色はついていないけど、黄色い光りと雪景色…なんて…)
信長がいつもの位置に座れば、武将達もその側に座り湖が居る方を見る
空に上がる花火と、それを見続ける湖を横目に
運ばれてきた酒を飲み始める武将達
「冬に花火も面白い物だな」
「そうですね…花火の打ち上げ地で支持を出してくださっている宗久殿に礼をしなければなりませんね」
秀吉が酒を片手に笑えば、三成は花火に魅了される湖を見ながら微笑んだ
それに対して、眉間に皺を寄せた家康は一口だけ杯に口をつけ、「…覗きの詫びでしょ…」と呟く
そんな家康を横目に信長が笑う
「貴様は相変わらずしつこいな」
「…悪かったですね」
「家康のしつこさなんて、秀吉に比べれば可愛いものだろう」
くくっと光秀が笑った
「面白い風習だな。人を喜ばせる為の風習か…そうだな…喜ぶ顔を見るのは悪い気がしないな…」
「そうだな…」
政宗は、湖を見るとそう言い笑う
また信長も、それに同意し笑った
少しして花火が終われば、湖は長い息を付く
それは、白い息でその場の寒さが良く解る
はぁー…
(綺麗だった…)
「湖、こちらに来い」
振り向けば、みんなが何かを持ってこちらを見ていた
「はい、今行きます」
湖は、そこの木戸を引き閉めると火鉢のある信長達の方へと足を進める
「花火、すごく綺麗でした…冬の花火は初めて見ました。雪と花火と…すごく素敵でしたねっ、城下の人達の歓声も聞えましたっ…信長さまの贈り物は、すごくたくさんの人を喜ばせられて…すごいですっ」
湖が興奮した様子で信長に話しかける
(…あれは、湖へだったんだが…そうか、城下の者達も喜んだのか…)
「貴様は楽しんだか?」
「もちろんですっ、すごく楽しめました。私、今日の花火、絶対忘れません」
ふふっと、微笑む湖の頬は寒さで赤く染まっている
「湖、もうちょっと火鉢の近くに来い。外に出てたんだ…冷えてるだろう?」
そんな湖を秀吉が火鉢の側へと移動させれば、三成が自分の羽織っていた羽織を掛けてくる