第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
「…このけーきという食べ物の食感はなんだ…まんじゅうの膨らみとも異なって、軽く、柔らかい…」
「あ。これは、ホットケーキという食べ物です。作り方は…特別なので内緒です」
(ふくらし粉は、佐助くんの企業秘密だものね…)
「ささやかですが、私からのサプライズプレゼントです」
ふふっと可愛らしく笑う湖に目を奪われる
「…その、湖様?さぷらいず・・ぷれぜんと?とはなんです?」
そんな中、宗久は先ほどの言葉が気になった
「あ。えっと…秘密用意して相手を喜ばせたり、驚かせたりする贈り物ってことです」
「なら、存分に「さぷらいずぷれぜんと」であったぞ」
フンと、信長が笑みを浮かべるのを見て
政宗と湖は、顔を見合わせると自分たちもそれを食べ出す
そうして、程なくした頃
「では、私は用がありますのでお先に失礼いたします、湖様。どうもありがとうございました」
宗久が、用があると言い食後にすぐ帰ることに
湖は、牛乳のお礼を改めて伝えると宗久を広間の出口まで立って送った
彼は広間を出る際、信長に一言声を掛ける
「信長様…では、後ほど…」
「解った」
(後ほど?また来るのかな?商人さんも大変だね)
宗久の帰宅後も宴会は続き、けーきをつまみに酒を飲み出すものも出てきた
どれくらいだっただろうか…
信長が秀吉に声を掛ければ、武将達が一斉に立ち上がった
「え…?どうしたんですか?」
「湖、来い」
秀吉に呼ばれ、全員で天主へと移動する
そして、三成が天主から突き出た板張りに出ると用意してあたった灯を揺らし始めた
「三成くん?」
彼を見て、部屋にいる武将達を見るが全員の視線が外に向いている
湖も、何かと思い外を見れば…
ぴゅーっ…
聞き覚えのある音
そして、どーーーんっと天に金色の花が咲くのだ
「っ、わ…わぁ」
天主から見た花火はとても近くに見えて、キラキラと輝く火の粉に頬も色づいた
「すごいっ、すごく素敵っ!今日はお祭りかなにかだったんですか!?」
「いや…さぷらいずぷれぜんとだ」
「え…?」
信長の答えに、言葉を失った
大きく上がっては消えていく花火
城下の町並みを揺れながら照らす氷提灯
みれば城下の人たちも空を見上げているようだ