第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
雉肉のミンチに、百合根をくわえ作ったハンバーグを食べ、みなひとしきり感心したように感想を述べた
どれも、美味しい、珍しいという物で悪い話はでない
(よかった…口に合わないかな…って思ってたけど、信長さま新しいものが好きだし…)
「これは…新しいですね…肉の臭みがなく、ほろほろして旨い…」
宗久も初めての料理に感心を寄せている
湖があからさまに、ほっとした顔を見せたので、政宗にはその背をポンと叩いた
「御館様、次が湖の作ったぷりんと、けーきです」
政宗がそう言えば、女中達によってプリンが運ばれてくる
(え…)
湖は、その盛りつけに目を奪われた
自分が用意したプリンとホットケーキだが、プリンには上に黒蜜と小さな花の形をした柚の皮が飾られ、ホットケーキは綺麗にカットされ、いつの間にか用意してあったのかあんこが添えられているのだ
「政宗、これ…」
「あのあと、味見させてもらった。どうだ?」
「…すごく綺麗っ、政宗、すごいねっ」
ぱぁああっと、目を輝かせる湖に政宗は笑って見せる
「ほう…見た目は見事だ」
信長が目の間に運ばれた御膳をみて、一口プリンを口にする
「……旨い」
信長からそう声が漏れれば、様子を見ていた武将達もそれを食べ出す
政宗と湖だけは、じっと皆の様子を見ているのだ
「…っこれが…牛乳か…」
「…甘くて、冷たくて…このつるんとしたのが、ぷりん…ですか…」
「旨いな、これは」
秀吉が竹筒の入れ物を片手に感心したように言えば、三成がその横でプリンをよく吟味しようとしている
その向かいでは、家康が予想通りの顔をしながら、これまた思っていた通りの感想を述べた
「…甘い…」
「そうだな、まるで湖のようだ」
「っ…けほ…っ」
その家康の横では、光秀が味を湖に例えるから、その例えに驚いたのか家康が喉を詰まらした
「家康様、大丈夫ですか?…が、しかし。光秀様…その例え、確かに仰るとおり。このぷりんなる物も、けーきなるものもまるで湖様のようですね」
宗久がそう言うと、信長はケーキをパクリと口に入れた
「…このけーきという食べ物の食感はなんだ…まんじゅうの膨らみとも異なって、軽く、柔らかい…」